2013年11月27日更新 シリアでポリオの患者が発生しました (更新3)

ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

11月26日付けで世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、シリアで17人が野生株ポリオウイルス1型に感染したと確定されました。デリゾール(Deir Al Zour)で15人の患者が発生したほか、ダマスカス(Damascus)県で1人、アレッポ(Aleppo)県で1人の患者が発生し、ウイルスが広範囲に流行していることが確認されました。最近発生した患者は10月8日に麻痺を発症しました。

この地域の全域で、総合的な集団発生への対応が継続して行われています。7つの国・地域で、5歳未満の小児の2,200万人を対象としたポリオの集団予防接種が行われています。WHOの東地中海事務局(EMRO)管内のすべての国は、合同決議で、ポリオの根絶が緊急事態であると宣言し、現在、ポリオの予防接種を受けていない小児に予防接種が実施できるよう支援を求めました。WHO と国連児童基金(UNICEF)は、シリアのすべての小児が居住地にかかわらず、予防接種を受けられるよう、係争中の地域へ人道支援を行っている組織・団体と協働しています

集団発生への対応は11月初旬に開始され、地域の状況と疫学的な状況によっては、少なくとも6か月から8か月の間続くと想定されています。

現在のシリアの状況では、頻繁な人口の移動があり、重要な地域における予防接種率が低下しているため、野生株ポリオウイルス1型が国際的に広がるリスクが高いと考えられています。さらに潜在的な患者を積極的に検出するために、この地域に対してサーベイランスに関する警告が出されました。また、経口生ポリオワクチンによる追加の予防接種活動が推奨され、実施するように求められています。

WHOの「国際渡航と健康(International Travel and Health)」は、ポリオの発生地域に行くすべての渡航者と、発生地域から出るすべての渡航者に対し、ポリオワクチンを規定の回数分接種することを推奨します。

感染症情報 :ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO(GAR) :Polio in the Syrian Arab Republic- update
http://www.who.int/csr/don/2013_11_26polio/en/index.html