2013年12月11日更新 サン・マルタン島でチクングニア熱の患者が発生しました

 12月10日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、WHOは、12月6日、カリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領(北部)で、地域内で感染したチクングニア熱の確定患者が2人発生したと報告を受けました。この島の南部はオランダ領です。2人の患者は、マルセイユにあるフランス国立アルボウイルスレファレンスセンターで行われたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で確定されました。

 サン・マルタン島では、今年1月からデング熱の集団感染が発生しています。チクングニア熱の患者は、11月18日に報告された関節痛と発熱のある5人の患者のうち、デング熱が否定された患者の追跡調査で発見されました。5人の患者の発症日は10月12日から11月15日の間でした。

 12月10日時点で、確定患者が2人、感染した可能性が高い患者が4人、感染した疑いのある患者が20人報告されています。

 チクングニア熱は、死亡することは稀で、蚊によって感染するウイルス性疾患です。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、関節痛は数週間続くことがあります。感染した蚊に刺されてから4日から7日後に症状が現れます。「チクングニア」という名前は、マコンデ語(アフリカで使われる言語)で、この疾患にかかった人が痛みのために身体を「曲げた状態にする」ことを示す言葉に由来しています。

 特異的な治療法や予防するワクチンはないので、下記の2つの対策で予防します。

 ・チクングニア熱のリスクファクターと予防対策を注意喚起することによって、蚊に刺されないようにすること。

 ・蚊が繁殖する場所を減らすことによって、蚊の増殖を止めること。

 このチクングニア熱の発生は、WHOのアメリカ地域内で、初めて地域内感染が起こった事例です。

 フランスとオランダの公衆衛生当局は綿密に調整し、サン・マルタン島のフランス領とオランダ領の保健当局は、この発生に対応するために密接に連携しています。これまでに地域の当局が実施した対策は以下の通りです。

 ・症候群サーベイランスと重症患者のサーベイランスを含む疫学的サーベイランス。

 ・患者が発生した地域における媒介蚊の制御活動。この活動は速やかに、空港周辺、学校、保育所、病院を含む島全体に拡大される予定です。

 ・コミュニケーションと社会的動員。医療専門家への情報提供や、一般市民への情報提供(個人で実施する予防対策、蚊の繁殖を防ぐ方法)のほか、空港での渡航者に対する特別な情報提供

 WHOは、この事例に関して入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

 渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。

長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。

流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。

子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を 

海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。

医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

 ● 感染症情報 : チクングニア熱

出典

WHO Global Alert and Response
Chikungunya in the French part of the Caribbean isle of Saint Martin
http://www.who.int/csr/don/2013_12_10a/en/index.html