チクングニア熱は蚊に刺されることで広がるウイルス性疾患です。「チクングニア」とは、アフリカの現地語で痛みによって「かがんで歩く」という言葉に由来します。最近、ヨーロッパやアメリカ大陸にも感染者が広がり、年々患者数が増加している感染症です。感染症法では4類に分類されています。
ネッタイシマカやヒトスジシマカからヒトにウイルスが運ばれて感染します。ヒトからヒトには感染しません。
潜伏期間は2~12日(通常3~7日)です。その後に、発熱、関節炎、発疹がみられます。関節の痛みは、手首、足首、指、膝、肘、肩などに現れます。結膜炎や神経系の症状もみられます。出血しやすくなることもあります。死に至ることは稀ですが、関節の痛みが月単位、年単位で続くことがあります。
症状によるデング熱との鑑別は困難です。デング熱よりも潜伏期間が短く、旅行中に発症する可能性があります。
ウイルスに対する治療薬はありません。症状に応じた対症療法が行われます。デング熱と同様に、出血傾向をきたすことがあるためサリチル酸系の解熱・鎮痛剤を避け、アセトアミノフェンを服用します。
ワクチンや予防薬はありません。虫除け対策が唯一の予防法です。肌が露出する服装で野外を行動することは避けましょう。
かつては、アジア、アフリカの熱帯・亜熱帯が流行地域でした。しかし、最近は中南米の各地に流行地が広がり、今も拡大を続けています。
2015年8月更新