2014年03月17日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況について (更新6)

チクングニア熱は、死亡することは稀で、蚊によって感染するウイルス性疾患です。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、関節痛は数週間続くことがあります。感染した蚊に刺されてから4日から7日後に症状が現れます。「チクングニア」という名前は、マコンデ語(アフリカで使われる言語)で、この疾患にかかった人が痛みのために身体を「曲げた状態にする」ことを示す言葉に由来しています。

3月14日付けで公表された欧州疾病対策センター(ECDC)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

3月14日時点における患者の発生状況は以下の通りです。

  • 英領ヴァージン諸島:確定患者は7人です。
  • サン・マルタン島(フランス領):疑い患者は2,560人です。確定患者と感染した可能性のある患者は781人です。3人が死亡しました。
  • サン・マルタン島(オランダ領):島内で感染したと確定された患者は115人です。
  • マルティニーク:疑い患者は5,680人です。確定患者と感染した可能性のある患者は1,058人です。1人が死亡しました。
  • サン・バルテルミー(セント・バーソロミュー)島:疑い患者は410人です。確定患者と感染した可能性のある患者は134人です。
  • グアドループ:疑い患者は1,800人です。確定患者と感染した可能性のある患者は529人です。
  • ドミニカ国:確定患者(輸入例)は56人で、国内で感染した患者は91人です。
  • 仏領ギアナ:確定患者は31人で、このうち輸入例が10人です。
  • アンギラ:確定患者は14人で、このうち1人はサン・マルタン島(フランス領)で感染したと考えられる患者です。
  • アルバ:サン・マルタン島(オランダ領)からの輸入例が1人です。
  • セントクリストファー・ネイビス:確定患者は1名です。

カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

感染症情報

チクングニア熱

出典

ECDC
Communicable disease threats report, Week11, 9-15 March 2014
http://www.ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/communicable-disease-threats-report-15-mar-2014.pdf[PDF形式:1037KB]