2014年03月24日更新 中東におけるポリオの発生状況について

 ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

 3月21日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、中東では、ポリオが集団発生している地域で、集団発生を緊急に止めるための対応が続いています。シリアでは、3月20日時点で、野生株ポリオウイルス1型に感染した患者が37人報告されました。37人のうち25人はシリアの保健省から報告され、12人は紛争地域(アレッポ、イドリブ、デリゾール)の患者で公式な患者数には反映されていません。最近麻痺を発症した患者は、イドリブの患者で、発症日は2013年12月17日でした。

 今週、イラクで2000年以降初めて野生株ポリオウイルス1型に感染した患者が1人報告されたことにより、この地域で感染が拡大しているという更なる根拠が確認されました。患者はバグダッドの6か月の男児で、予防接種を受けておらず、2月10日に麻痺を発症しました。遺伝子解析の結果、このウイルスはシリアで検出されたウイルスに密接に関連しています。この子どもの3歳の姉からも野生株ポリオウイルス1型が検出されましたが、発症しませんでした。イラクでは、2013年10月にシリアでポリオが確認されてから中東の緊急対応の一部を担ってきたので、この事例を迅速に制御できる見込みがあります。この事例に対応し、WHOの東地中海地域のすべての国は、合同決議で、ポリオの根絶が緊急事態であることを宣言し、現在、ポリオの予防接種を受けていない子どもが予防接種を受けられるように協議し、予防接種を実施するための支援を求めました。イラクでは、2013年10月以降、全国の予防接種キャンペーンが2回、地域の予防接種キャンペーンが3回行われ、全体的に高い水準を達成しました。地域によって差はありますが、それぞれのキャンペーンで約95%の子どもが予防接種を受けました。WHOと国連児童基金 (UNICEF)は、イラクにおける定期の予防接種の接種率は2012年以降70%と推計しています。バグダッドにおける定期の予防接種の接種率は81%と推計されています。

 集団発生への対応の一部として、特にシリアでは、伝播の程度を確認するやめに、地域のサーベイランスの感度を高くするための取組が進められています。特に、ダマスカス、アレッポ、ホムス、ラタキア、クネイトラ、ラッカでは、地域のサーベイランスに格差があります。デリゾールを含むシリアの北東部では、サーベイランスでは、サーベイランスの質が向上しています。

 現在、地域における集団発生対応計画の第1段階が完了しました。2013年10月以降、この地域では、追加の予防接種活動が24回実施され、2,200万人以上の子どもが複数回の予防接種を受けました。実施された追加の予防接種活動は、エジプト(全国で2回、地域で1回)、イラク(全国で2回、地域で3回)、ヨルダン(全国で3回)、レバノン(全国で3回)、シリア(全国で5回)、トルコ(地域で3回)、ヨルダン川西岸地区とガザ地区(2回)で行われました。第2段階は4月1日に始まる予定で、全国の予防接種キャンペーンは、エジプト(4月1日から3日)、シリアとイラク(いずれも4月6日から10日)、レバノン(4月)で行われる予定です。5月にもこの地域全体で予防接種キャンペーンが行われる予定です。

 イスラエルでは、環境のサーベイランスから野生株ポリオウイルス1型の検出が続いています。2013年2月3日以降、合計で186検体が陽性となり、直近では2月16日に検出されました。ヨルダン川西岸地区とガザ地区では、環境のサーベイランスで野生株ポリオウイルス1型が陽性となった検体は3検体であり、直近では2013年1月に検出されました。イスラエル、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区では、ポリオの患者は発見されておらず、汚水の検体から野生株ポリオウイルス1型が分離されたのみです。この地域では、サーベイランスは依然として警戒水準にあり、地域内の国はポリオの可能性のある患者を積極的に発見し、経口ポリオワクチンによる推奨された追加の予防接種キャンペーンを実施するよう求められています。WHOは、この地域からポリオが国際的に広がるリスク評価は依然として高いとしています。 

 WHOの「国際渡航と健康(International Travel and Health)」では、ポリオの発生地域に行くすべての渡航者と、発生地域から出るすべての渡航者に対し、ポリオワクチンを規定の回数分接種することを推奨しています。

感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO Global Alert and Response
Update of polio outbreak in the Middle East – ongoing transmission in Syria with international spread
http://www.who.int/csr/don/don_updates/en/