2014年05月07日更新 野生型ポリオの国際的拡大のリスクに関してWHOが声明を出しました

ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

2012年1月から2013年の1月から4月頃までは野生型ポリオウイルスの国際的拡大はほぼ中断されていましたが、現在の状況は厳しいものとなっています。現在発生している10か国(アフガニスタン、カメルーン、赤道ギニア、エチオピア、イラク、イスラエル、ナイジェリア、パキスタン、ソマリア、シリア)のうち3か国から野生型ポリオウイルスの国際的な広がりが認められました:中央アジア(パキスタンからアフガニスタン)、中東(シリアからイラク)、中央アフリカ(カメルーンから赤道ギニア)です。

2014年4月28日と4月29日にWHOの緊急会議が開催され、5月5日にWHO事務局長は2014年における野生型ポリオウイルスの国際的な拡大は国際的な公衆衛生上の脅威となる事象(PHEIC)であると宣言しました。同時に以下のような勧告を発表しました。

パキスタン、カメルーン、シリアは2014年に野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出す(輸出)リスクの最も高い国で、これらの国では

  • すべての住民と長期滞在者(4週間以上)は国際渡航の12か月前から4週間前までに1回のOPV又は
    不活化ワクチン(IPV)を確実に接種すべきです;
  • OPVやIPV接種を出発の12か月前から4週間前までに受けていない至急(4週間以内)の渡航者は少な
    くとも出発時に1回ポリオワクチンの接種を確実に受けるべきです。

等を含め4項目を臨時的に勧告しました。

また、アフガニスタン、赤道ギニア、エチオピア、イラク、イスラエル、ソマリア、特にナイジェリアは国際的な拡大を受けましたが、2014年に新たに野生型ポリオウイルスを国外へ持ち出すリスクが引き続き出てきたとして

  • 住民と長期滞在者(4週間以上)は国際渡航の12か月前から4週間までに1回のOPV又は不活化ワ
    クチン(IPV)の接種を受けることを推奨すべきです。

の1項目を含め4項目について臨時的な勧告を出しました。

詳細については以下を参照してください。

最新ニュース
野生型ポリオの国際的拡大に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会会議でのWHO声明
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/05071419.html

日本の定期の予防接種では、平成24年8月までは経口生ワクチンが使用されていましたが、平成24年9月以降は注射の不活化ポリオワクチンが使用されています。ポリオが発生している国に渡航する人は、追加の予防接種を検討してください。

出典

WHO statement on the meeting of the International Health Regulations Emergency Committee concerning the international spread of wild poliovirus,5 May 2014
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2014/polio-20140505/en/