2014年11月14日更新 アメリカ大陸でのコレラの流行状況

コレラは、コレラ菌によって下痢や嘔吐が生じる病気です。最近のコレラは症状が軽いことが多いですが、ときに重い下痢が起こり、脱水から死亡することもあります。

11月6日に世界保健機関(WHO)汎米保健機構(PAHO)から、アメリカ大陸の国々から得られたコレラについての情報が発信されています。

アメリカ大陸におけるコレラの発生状況の概要
キューバでは、2014年第8週以降で新しく確認されたコレラ症例はありません。チリでは、国際保健規則(IHR)の担当者から第38週にキューバを旅行したチリ人が小川型のコレラに感染したことが確認されたと報告しました。

ドミニカ共和国では2010年の流行以来2014年の第41週までに472名の死亡者を含む31,681名のコレラ疑いの患者が発生しました。

2014年第1週から41週までに、5人の死者を含む209名のコレラ疑い患者がいました。これは平均して月に23名の発生となります。この数値は、2013年の同じ時期に届け出が出された発生患者数よりも少なくなっています。2013年には平均して月に130名の届け出と合計13人の死亡があり、2012年には同様に557名の届け出と21名の死亡、2011年には240名の届け出と35名の死亡が報告されていました。2014年はこれまでのところ、多くの国で患者発生の届け出の減少傾向が記録され続けています。

ハイチでは、2010年10月の流行以来2014年の第44週までに711,442名のコレラ患者が発生し、うち400,103名(56%)が入院、8,646名が死亡しました。累積死亡率は平均で1.2%、南東部の4.4%から首都ポルトーフランスの0.6%までの幅があります。

2014年に報告されている患者数が前年と比べて改善していますが、一方で、第37週以降は着実に増加を続けています。2014年の第37週までの発生患者数は週平均で250-290名でしたが、38週以降44週までは週平均で629名に増加しています。

メキシコでは、第24週から43週までに14名のコレラ発生の届け出がありました。全てイダルゴ(Hidalgo)州からの届け出です。

2013年には、死者1名を含む小川型のコレラ患者176名が報告されています。

勧告
世界保健機関(WHO)汎米保健機構(PAHO)は2012年11月2日のコレラ流行に対する警告を改めて表明します。疑いの患者が発生しました。

これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。
    氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

    図.吸収のよい水の作り方

    感染症情報:食べ物・水にご注意を!コレラ

出典

WHO/PAHO, Epidemiological Update,
Situation summary of cholera in the Americas,6November2014
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=28070+&Itemid=999999&lang=en