2014年11月26日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況について (更新15)

 チクングニア熱は、死亡することは稀で、蚊によって感染するウイルス性疾患です。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、関節痛は数週間続くことがあります。感染した蚊に刺されてから4日から7日後に症状が現れます。

 11月21日付けで公表された汎米保健機構(PAHO)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

 11月21日時点における患者の発生状況は以下のとおりです。

国・地域 報告週 国内感染例a 輸入例 発生率b 死亡者数
疑い例 確定診断例 確定診断例
北米 バーミューダ 0 0.0 0
カナダ Week32 0 8 0.0 0
メキシコ Week46 14 11 0.0 0
アメリカ合衆国 Week47 11 1,839 0.0 0
小計 25 1,858 0.0 0
中米 ベリーズ Week44 3 0.9 0
コスタリカ Week39 1 16 0.0 0
エルサルバドル Week46 123,072 157 1,943.7 0
グアテマラ Week40 424 49 3.1 0
ホンジュラス Week41 185 9 5 2.4 0
ニカラグア Week46 542 40 8.9 0
パナマ Week47 32 28 0.8 0
小計 123,681 793 89 276.3 0
ヒスパニック系カリブ海諸国 キューバ Week42 20 0.0 0
ドミニカ共和国 Week41 498,916 84 4,796.2 6
フランス領ギアナ Week46 3,258 4,612 3,160.6 0
グアドループ Week42 80,532 430 17,373.8 59
ハイチ Week28 64,695 14 627.2 0
マルティニーク Week46 78,345 1,515 61,430.8 76
プエルトリコ Week42 16,786 3,287 31 544.3 5
サン・バルテミー島 Week46 1,014 142 12,988.8 0
セント・マーチン島(フランス領) Week46 3,771 793 12,787.9 3
小計 747,317 10,877 51 2,058.2 149
アンデス地域 ボリビア Week46 0 3 0 0
コロンビア Week46 22,034 338 26 46 0
エクアドル Week40 0 1 0 0
ペルー Week42 0 7 0 0
ベネズエラ Week43 7,072 328 70 24 0
小計 29,106 666 107 22 0
南米 アルゼンチン Week44 22 0.0 0
ブラジル Week45 173 37 0.1 0
チリ Week22 0 2 0.0 0
パラグアイ Week45 1 6 0.0 0
小計 0 174 67 0 0
その他のカリブ地域 アンギラ Week45 49 2 306.3 0
アンティグア・バーブーダ Week42 1,376 18 1,548.9 0
アルバ Week45 187 43 12 211.0 0
バハマ Week37 79 4 21.0 0
バルバドス Week45 1,350 77 8 493.8 0
ケイマン Week42 25 3 46.3 0
キュラソー Week43 1,654 345 7 1,359.9 0
ドミニカ国 Week41 3,745 171 5,364.4 0
グレナダ Week41 2,826 26 2,592.7 0
ガイアナ Week31 76 9.5 0
ジャマイカ Week45 1,023 75 2 39.4 0
モントセラト Week44 8 11 38.0. 0
セントクリストファー・ネイビス Week44 432 27 900.0 0
セントルシア Week45 700 196 549.7 0
セントビンセント・グレナディーン Week42 329 165 479.6 0
セント・マーチン島 (オランダ領) Week44 425 1,062.5 0
スリナム Week43 1,210 14 224.5 1
トリニダード・トバゴ Week42 177 3 13.2 0
タークス・カイコス諸島 Week44 19 7 39.6 0
ヴァージン諸島 (イギリス) Week41 44 137.5 0
ヴァージン諸島 (米国) Week43 1,226 113 2 1,275.2 0
小計 14,856 3,371 64 250.5 1
総計 914,960 15,906 2,236 96.5 150
  1. a.診断の定義はhttp://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_download&Itemid=&gid=23978&lang=enを参照してください。
  2. b.発生率は人口10万人あたりの発生数

 カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
  • 感染症情報:チクングニア熱

出典

WHO/PAHO
Number of Reported Cases of Chikungunya Fever in the Americas,by Country or Territory2013-2014(to week noted), Epidemiological Week/EW47 (update 21November2014 )
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_topics&view=article&id=343&Itemid=40931&lang=en