2014年12月22日更新 アメリカ大陸でのコレラの流行状況 (更新1)

 コレラは、コレラ菌によって下痢や嘔吐が生じる病気です。最近のコレラは症状が軽いことが多いですが、ときに重い下痢が起こり、脱水から死亡することもあります。

 12月2日に世界保健機関(WHO)汎米保健機構(PAHO)から、アメリカ大陸の国々から得られたコレラについての情報が発信されています。

アメリカ大陸におけるコレラの発生状況の概要

キューバでは、2014年第38週以降で新しく確認されたコレラ症例はありません。

 ドミニカ共和国のサンファン州とアスア州では2014年11月末(第48週)までに2名の死亡者を含む112名(アスア州で疑い例が8名)のコレラ疑い患者が発生しました。いずれも、2014年にコレラ患者が報告されたことのない州でした。検体が採取され、現在結果を待っているところです。

 2010年の流行以来2014年の第41週までに472名の死亡者を含む31,703名のコレラ疑いの患者が発生しました。今年の第1週から44週までに、5名の死亡を含む231名のコレラ疑い患者の報告がありました。この数は、前年の報告数よりもはるかに低くなっています。

 ハイチでは、2014年の第37週から第41週に、週平均で918名の患者報告があり、国内広域で増加傾向となっています。今年報告された患者の90%は4つの地域(アルティボニット県、中央県、西県と北県)から行われています。このうち西県からの報告数が最も多い状況で、全体の36%を占めています。この4つの地域で過去6か月間に報告された入院率は70%です。これは10人のうち7人までが入院を必要としたことを示しています。

 2010年10月の流行以来2014年の第47週までに717,203名のコレラ患者が発生し、うち404,371名(56%)が入院、8,721名が死亡しました。累積死亡率は平均1.2%で、南東県の4.5%から首都ポルトープランスの0.6%までの幅があります。

 メキシコでは、第24週から46週までに14名のコレラ発生の届け出がありました。このうち13名はイダルゴ(Hidalgo)州から、1名はケレタロ(Querétaro)州からの報告です。

勧告

 世界保健機関(WHO)汎米保健機構(PAHO)は2012年11月2日のコレラ流行に対する警告を改めて表明します。疑いの患者が発生しました。

 これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報:

 

出典

WHO/PAHO, Epidemiological Update,
Situation summary of cholera in the Americas,2December2014
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=28392+&Itemid=999999&lang=en