2015年05月18日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況  (更新4)

 チクングニア熱は、 蚊によって感染するウイルス性疾患です。感染した蚊に刺されてから2~12日(通常2~4日)後に症状が現れます。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、死亡することは稀ですが、関節痛は数週間、稀に数か月から数年続くことがあります。

 5月15日付けで公表された汎米保健機構(PAHO)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

 5月15日時点における患者の発生状況は以下のとおりです。

国・地域 報告週 国内感染例a 輸入例 発生率b 死亡者数
疑い例 確定診断例
北米 バーミューダ Week12 1
カナダ Week4 312
メキシコ Week19 1,067 11 0.9
アメリカ合衆国 Week18 597
小計 0 1,067 921 0.2 0
中米 ベリーズ Week 0.0
コスタリカ Week12 237 49 4.9
エルサルバドル Week16 10,583 166.9
グアテマラ Week16 4,956 256 33.7 1
ホンジュラス Week14 17,545 5 216.7
ニカラグア Week12 17,946 2,235 331.9
パナマ Week
小計 51,030 2,733 49 119.3 1
ヒスパニック系カリブ海諸国 キューバ Week 0.0
ドミニカ共和国 Week14 45 0.4
フランス領ギアナ Week18 5,720 1,756 3,002.4 2
グアドループ Week9 150 32.2
ハイチ Week
マルティニーク Week9 320 79.2
プエルトリコ Week17 336 74 11.1 19
サン・バルテミー島 Week9 317 3,561.8
セント・マーチン島(フランス領) Week9 490 1,372.9
小計 7,378 1,830 0 25.0 21
アンデス地域 ボリビア Week13 143 916 1 9.9
コロンビア Week17 200,919 200 416.2 22
エクアドル Week16 3,516 387 89 24.8
ペルー Week 23 0.0
ベネズエラ Week17 12,482 296 42.0
小計 217,060 1,799 113 161.5 22
南米 アルゼンチン Week17 20
ブラジル Week15 3,090 5 7 1.5
チリ Week 1
パラグアイ Week16 490 495 7 14.5
ウルグアイ Week
小計 3,580 500 28 1.5 0
その他のカリブ地域 アンギラ Week11 25 3 175.0
アンティグア・バーブーダ Week8 16 0 17.8
アルバ Week12 57 677 673.4
バハマ Week17 10 1 2.7
バルバドス Week15 279 15 101.7 2
ケイマン Week8 67 1 125.9
キュラソー Week
ドミニカ国 Week5 8 11.0
グレナダ Week
ガイアナ Week2 5,310 29 667.4
ジャマイカ Week6 299 10.7
モントセラト Week12 13 260.0
セントクリストファー・ネイビス Week
セントルシア Week
セントビンセント・グレナディーン Week8 3 2 4.9
セント・マーチン島 (オランダ領) Week
スリナム Week
トリニダード・トバゴ Week7 22 1.6
タークス・カイコス諸島 Week
ヴァージン諸島 (イギリス) Week
ヴァージン諸島 (米国) Week12 225 102 311.4
小計 6,302 861 1 98.4 2
総計 285,350 8,790 1,112 30.4 46
  1. a.診断の定義はhttp://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_download&Itemid=&gid=23978&lang=enを参照してください。
  2. b.発生率は人口10万人あたりの発生数

 カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
  • 感染症情報:チクングニア熱

出典

WHO/PAHO
Number of Reported Cases of Chikungunya Fever in the Americas,by Country or Territory2015(to week noted),Cumulative cases, Epidemiological Week/EW 19 (update as of15 May 2015 )
http://www.paho.org/hq/index.php?Itemid=40931