2015年06月29日更新 アメリカ大陸でのコレラの流行状況 (更新2)

 コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢が起こることもあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。

 2015年6月24日付で汎米保健機関(PAHO)よりアメリカ大陸でのコレラに関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラ発生状況

 2015年の初めから第22週までに、アメリカ大陸3か国から16,961人の患者が報告されています。内訳は、ハイチで16,687人、ドミニカ共和国で273人、キューバで1人です。

 2015年1月にキューバでの最新コレラ患者がカナダの国際保健規約(IHR)担当者から報告されました。この患者にはキューバへの渡航歴がありました。

 ドミニカ共和国では、2014年に死亡者10人を含む597人のコレラ疑似患者が登録されていました。この数値は、2013年と比べて、患者数で70%、死亡者数で76%の減少となっています。

 2015年の疫学第1週から第20週までに、死亡者10人を含む273人のコレラ疑似患者が登録されました。これは、2014年の同じ時期に記録された患者数よりも76%の増加を示しています。ドミニカ共和国におけるこの発生状況は、同じ時期にハイチで発生しているコレラの大流行と連動しています。

 ドミニカ共和国では、2010年11月の流行の始まりから2015年第20週までに、488人の死亡者を含む、32,358人のコレラ疑似患者が報告されています。

 ハイチでは、コレラ流行の始まり(2010年10月)から2015年3月31日までに、コレラの患者が合計738,528人に達しており、そのうち421,013人(累積の入院率57%)が入院し、8,925人が死亡しました。累積の患者死亡率は1.2%となっています。

 2015年の疫学第1週から第22週までに、16,696人のコレラ患者が発生し、入院率80%にあたる13,304人が入院、140人が死亡(致死率0.8%)しました。2015年に報告された患者数と死亡者数は、2014年の同じ時期と比べて多くなっています。また、2015年のいくつかの週では、患者数が2012年に報告された同週の患者数と比べて多くなっています。5月から6月にかけて、ハイチの保健・人口省(The Haiti Ministry of Public Health and Population[MSPP])は、国内10地域のうち4地域で流行警報を発しました。

 これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報 :食べ物・水にご注意を!,コレラ

出典

PAHO.Epidemiological Update. Cholera. 24 June 2015.
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=30752&lang=en