2015年08月11日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況 (更新7)

チクングニア熱は、蚊によって感染するウイルス性疾患です。感染した蚊に刺されてから2~12日(通常2~4日)後に症状が現れます。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、死亡することは稀ですが、関節痛は数週間、稀に数か月から数年続くことがあります。

8月7日付けで公表された汎米保健機構(PAHO)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

8月7日時点における患者の発生状況は以下のとおりです。

国・地域報告週

国内感染例a

輸入例発生率b死亡者数
疑い例確定診断例
北米
バーミューダWeek173
カナダWeek4312
メキシコWeek313,306122.8
アメリカ合衆国Week31265
小計03,3065920.70
中米
ベリーズWeek0.0
コスタリカWeek201422.9
エルサルバドルWeek2723,81113375.80
グアテマラWeek217,34252250.81
ホンジュラスWeek2649,1625607.10
ニカラグアWeek1217,9462,235331.9
パナマWeek301231515
小計98,3842,93215224.91
ヒスパニック系カリブ海諸国
キューバWeek0.0
ドミニカ共和国Week22630.6
フランス領ギアナWeek306,3801,7563,267.52
グアドループWeek915032.2
ハイチWeek
マルティニークWeek932079.2
プエルトリコWeek2959510519.014
サン・バルテミー島Week183173,561.8
サン・マルタン島(フランス領)Week186001,681.13
小計8,4251,861027.919
アンデス地域
ボリビアWeek1314391619.9
コロンビアWeek29311,963910647.537
エクアドルWeek3127,3643,37388195.32
ペルーWeek263131300.2
ベネズエラWeek1712,48229642.0
小計351,9835,526119263.839
南米
アルゼンチンWeek2931
ブラジルWeek288,62811974.4
チリWeek286
パラグアイWeek281,85784039.7
ウルグアイWeek
小計10,485959444.20
その他のカリブ地域
アンギラWeek11283193.8
アンティグア・バーブーダWeek816017.8
アルバWeek1466686689.9
バハマWeek171012.7
バルバドスWeek1929015105.52
ケイマンWeek8671125.9
キュラソーWeek
ドミニカ国Week5811.0
グレナダWeek
ガイアナWeek25,31029667.4
ジャマイカWeek629910.7
モントセラトWeek20130260.0
セントクリストファー・ネイビスWeek
セントルシアWeek
セントビンセント・グレナディーンWeek8324.9
シント・マールテン島 (オランダ領)Week
スリナムWeek
トリニダード・トバゴWeek20836.2
タークス・カイコス諸島Week
ヴァージン諸島 (イギリス)Week
ヴァージン諸島 (米国)Week12225102311.4
小計6,325931199.72
総計475,60215,51577150.761

a 診断の定義はhttp://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_download&Itemid=&gid=23978&lang=enを参照してください。
b 発生率は人口10万人あたりの発生数

カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

◆感染症情報:チクングニア熱

出典

WHO/PAHO.
Number of Reported Cases of Chikungunya Fever in the Americas, by Country or Territory2015(to week noted), Cumulative cases,Epidemiological Week/EW 31 (update 07 August 2015 )
http://www.paho.org/hq/index.php?Itemid=40931