2015年08月11日更新 ポリオの発生-マダガスカル

ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

7月24日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、マダガスカルでポリオが発生しています。詳細は以下のとおりです。

マダガスカルでは、ワクチン由来のポリオウイルス1型(cVDPV1)の伝播によって、2015年4月22日から5月29日にかけて、新たに患者8人が麻痺を発症させたことが確認されました。これらの新たな患者は2014年9月24日に発症した患者から分離されたcVDPV1と遺伝子において関係しています。また、この発生は、2014年9月に最初に発見されたcVDPV1の伝播が続いており、地理的にも拡がっていることを示しています。新たな患者のうち5人は国内南部のAndroy(アンドロィ)地域からです。一方、残る患者はマダガスカル中央部のMenabe(メナベ), Anosy (アノジー)、Boeni(ブエニ)からです。9月に発症した以前の患者は、国の北部に位置するSofia(ソフィア)地域での発生でした。

公衆衛生上の対策
9月の患者発見以降、感染発生への対策活動が国全体で行われてきました。地域の予防接種の日と全国の予防接種の日が、それぞれに12月と4月に開かれました。それでも、これまでの感染発生への対策は、規模、時期、対策の質において、この遺伝子株の伝播を遮断するには不十分でした。また、この国を襲った洪水が事態をより複雑にしました。マダガスカルの25%以上の子どもが、今も未接種または免疫を獲得する途上にいます。最近、緊急の感染発生対策はさらに強化されました。

●WHOのリスク・アセスメント
ワクチン由来のポリオウイルスの伝播は極めて稀です。しかし、免疫応答が不十分のいくつかの集団では発生することがあり、ポリオウイルスの中ではよく報告される遺伝子株です。堅固な感染発生への対策を取れば、発生に伴うこういった事例を迅速に止めることができます。cVDPV株の出現は定期予防接種の接種率を高く維持することが重要性であることを強調しています。過去15年の間に、マダガスカルでは複数のcVDPV株が出現しましたが、それらの伝播は追加で予防接種キャンペーンを実施した後には遮断されました。WHOは、マダガスカルから国際的にリスクの拡がる可能性は低いと評価しています。

●WHOからのアドバイス
すべての国、特に、頻繁にポリオ発生の影響を受けた国や地域を旅行したり接触を持ったりする人のいる国では、新たないかなるウイルスの感染輸入をも速やかに検出し、迅速に対策しやすくするために、急性弛緩性麻痺(AFP)患者のサーベイランスを強化することが重要です。加えて、国、領土および地域はいかなるウイルスの新たな侵入の影響も最小限にとどめるために、地域レベルで一様に定期予防接種の高い接種率を維持することが必要です。

WHO海外旅行および健康情報では、ポリオ発生の影響を受けた地域に旅行するすべての者に対して十分にポリオの予防接種を受けることを勧めています。感染地域からの住民および4週間以上の滞在者は、その出発に先立つこと4週から12か月の間に、経口ポリオワクチンまたは不活化ポリオワクチンの追加接種を受けることが必要です。

◆感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO.Poliovirus in Madagascar.Global Alert end Response(GAR). 24 July 2015
http://www.who.int/csr/don/24-july-2015-polio/en/