2015年09月02日更新 ワクチン由来のポリオウイルスの流行-ウクライナ

 ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

 9月1日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、ウクライナでワクチン由来のポリオが発生しています。詳細は以下のとおりです。

 ウクライナでは、2015年6月30日と7月7日を発症日とするワクチン由来のポリオウイルス1型(cVDPV1)の患者2人が確認されました。2人は、ルーマニア、ハンガリー、スロバキアおよびポーランドと国境を接するウクライナ南西部のZakarpatskaya oblast(ザカルパッチャ州オーブラスチ)からの確認です。発症時、1人は4歳、もう1人は10か月の子どもでした。

 ウクライナはワクチン接種率が不十分のため、ワクチン由来のポリオウイルスが発生する特有のリスクをもっていました。2014年にポリオおよびワクチンで予防可能な病気に対する十分な予防接種を受けたのは50%に過ぎませんでした。

公衆衛生の対策

 現在、突然の感染発生への対策を計画し実施するために、国の保健行政当局で協議が行われています。2015年5月に世界保健総会で採択された、国際的に合意された感染発生への標準対策では、最低限、適切な経口ポリオワクチンの使用、感染発生の確認の2週間以内での活動開始、5歳未満の子ども200万人を接種対象集団とすること、の3つの大規模な追加の予防接種活動を必要とします。そして、国の公衆衛生上の緊急事態として感染発生を公的に宣言することが必要です。

WHOのリスク・アセスメント

 ワクチン由来のポリオウイルスの伝播は極めて稀です。しかし、予防接種が不十分な集団では発生することがあり、ポリオウイルスの中ではよく報告される遺伝子株です。堅固な感染発生への対策を取れば、発生に伴うこのような事例は迅速に止めることができます。国と地方の実施調査の欠損を踏まえ実際のワクチン接種率とのギャップを考えると、この遺伝子株がさらに国内で拡がるリスクは高いとみられます。cVDPV株の出現は定期予防接種の接種率を高く維持することが重要性であることを強く示しています。WHOは、現在、ウクライナから国を越えて感染が拡がるリスクは低いと考えています。しかし、感染が発生したオーブラスチと国境を接する4つの国(ルーマニア、ハンガリー、スロバキア、ポーランド)を注視しています。

WHOからのアドバイス

 すべての国、特に、頻繁にポリオ発生の影響を受けた国や地域を旅行したり、これらと接点を持ったりする人のいる国では、新たな如何なるウイルスの感染輸入をも速やかに検出し、迅速に対策を立てやすくするために、急性弛緩性麻痺(AFP)患者のサーベイランスを強化することが重要です。加えて、国、領土および地域は、新たなウイルスによる如何なる侵入の影響も最小限にとどめるために、地域レベルで一様に定期予防接種の接種率を高く維持することが必要です。

 WHO海外渡航および健康情報では、ポリオ発生の影響を受けた地域に旅行するすべての者に対して十分にポリオの予防接種を受けることを勧めています。感染地域からの住民および4週間以上の滞在者は、その出発に先立つこと4週から12か月の間に、経口ポリオワクチンまたは不活化ポリオワクチンの追加接種を受けることが必要です。

感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO. Poliovirus in Madagascar. Global Alert end Response (GAR). 1 September 2015
http://www.who.int/csr/don/01-september-2015-polio/en/