2015年10月05日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況 (更新9)

チクングニア熱は、蚊によって感染するウイルス性疾患です。感染した蚊に刺されてから2~12日(通常2~4日)後に症状が現れます。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、死亡することは稀ですが、関節痛は数週間、稀に数か月から数年続くことがあります。

10月2日付けで公表された汎米保健機構(PAHO)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

10月2日時点における患者の発生状況は以下のとおりです。

国・地域 報告週 国内感染例a 輸入例 発生率b 死亡者数
疑い例 確定診断例
北米 バーミューダ Week17 3
カナダ Week 4 312
メキシコ Week39 7,413 20 5.9
アメリカ合衆国 Week39 478
小計 0 7,413 813 1.5 0
中米 ベリーズ Week 0.0
コスタリカ Week20 142 2.8
エルサルバドル Week35 39,704 17 618.1 0
グアテマラ Week21 7,342 522 48.4 1
ホンジュラス Week33 71,835 5 852.9 0
ニカラグア Week37 43,245 3,667 749.9 1
パナマ Week33 123 17 15
小計 162,249 4,370 15 356.8 2
ヒスパニック系カリブ海諸国 キューバ Week 0.0
ドミニカ共和国 Week28 67 0.6
フランス領ギアナ Week39 6,760 1,756 3,262.8 2
グアドループ Week 9 150 31.9
ハイチ Week
マルティニーク Week 9 320 79.0
プエルトリコ Week37 688 130 22.2 1
サン・バルテミー島 Week18 317 3,561.8
サン・マルタン島(フランス領) Week18 600 1,681.1
小計 8,902 1,886 0 28.9 3
アンデス地域 ボリビア Week13 143 916 1 9.6
コロンビア Week37 333,173 1,961 676.6 55
エクアドル Week37 28,893 4,051 102 203.0 2
ペルー Week36 69 83 71 0.5
ベネズエラ Week36 14,697 321 48.0
小計 376,975 7,332 174 276.0 57
南米 アルゼンチン Week37 35
ブラジル Week34 11,394 168 7 5.7
チリ Week28 6
パラグアイ Week35 2,779 869 51.9
ウルグアイ Week
小計 14,173 1,037 48 5.5 0
その他のカリブ地域 アンギラ Week11 28 3 193.8
アンティグア・バーブーダ Week8 16 0 17.4
アルバ Week29 281 686 863.4
バハマ Week17 10 1 2.6
バルバドス Week25 82 0 28.3
ケイマン Week 8 67 1 121.4
キュラソー Week
ドミニカ国 Week 5 0.0
グレナダ Week
ガイアナ Week2 5,310 29 661.6
ジャマイカ Week 6 299 10.6
モントセラト Week29 7 0 140.0
セントクリストファー・ネイビス Week
セントルシア Week
セントビンセント・グレナディーン Week8 0 0 0.0
シント・マールテン島 (オランダ領) Week
スリナム Week
トリニダード・トバゴ Week30 51 3.8
タークス・カイコス諸島 Week
ヴァージン諸島 (イギリス) Week
ヴァージン諸島 (米国) Week12 225 102 317.5
小計 6,315 882 1 98.0 0
総計 568,614 22,920 1,051 59.7 62
  1. a診断の定義はhttp://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_download&Itemid=&gid=23978&lang=en[PDF形式:658KB]を参照してください。
  2. b発生率は人口10万人あたりの発生数

カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

感染症情報

チクングニア熱

出典

WHO/PAHO.
Number of Reported Cases of Chikungunya Fever in the Americas, by Country or Territory 2015(to week noted), Cumulative cases, Epidemiological Week/EW 39 (update 02 October 2015 )
http://www.paho.org/hq/index.php?Itemid=4093