2016年03月30日更新 黄熱の発生 -中国

 野口英世が研究していた病気としても知られる黄熱は、蚊に媒介されて伝播します。発症すると、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状が現れ、皮膚が黄色くなったり、出血しやすくなったりします。死に至ることも多い病気です。黄熱の感染拡大を防ぐためには、予防接種が最も重要な方法です。特別な治療法はなく、脱水や発熱などの症状を和らげる治療が行われます。

 3月29日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、3月13日に中国の国際保健規則(IHR)国家担当者は、黄熱ウイルスの輸入感染患者をWHOに報告しました。

報告の詳細
 患者は、32歳中国人男性です。ルアンダ州(アンゴラ)で仕事をしていました。患者は、3月8日に発熱と悪寒を訴え、ルアンダから中国に帰国する途中の3月10日に北京に到着しました。彼は、直ちに北京の病院を受診しました。3月11日に、患者は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査によって黄熱ウイルスに陽性であることが判明し、3月12日には、検査施設での結果が中国疾病対策センターよっても確認されました。現在、患者は、肝臓と腎臓の機能不全を伴う危険な状態にあります。彼は黄熱が発症する以前には予防接種を受けていませんでした。

公衆衛生上の取り組み
 中国政府は、調査活動と媒介する蚊の監視を強化し、媒介する蚊の制御とリスク情報の伝達活動を行っています。

WHOのリスク評価
 これは、中国に黄熱が感染輸入された初めての患者です。さらなる感染伝播のリスクは、媒介能力をもつネッタイシマカにとって活動できる季節ではないため最小限に留まると考えられています。北京は、現在の気温が10℃前後で、媒介する蚊が群を為すほどに繁殖するには好ましい環境ではありません。

WHOからのアドバイス
 この病気に対する予防接種が必須である国から旅行者で、これまでにワクチン接種を受けていない者が黄熱に感染したことの報告は、国際保健規則(2005)に基づいて予防接種を必須の要件として実施することの強化が必要であることを強く示しています。そのため、WHOは、加盟国、特に、自国内での感染伝播のサイクルが確立する可能性のある(即ち、媒介能力をもつネッタイシマカが生息する)国では、流行が潜在する地域へ旅行する者に対して予防接種の有無を管理することの強化を勧めています。

蚊に刺されないための対策
・可能な限り、しっかりと網戸が取り付けられているか、エアコンが設置されている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾート施設を選んで滞在してください。
・長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
・流行地域では、屋外にでかける場合や網戸が取り付けられていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
・子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーを被うように注意してください。

心配な場合には早めの受診を
・海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
・また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当官にご相談ください。帰国後に発症した場合や症状が改善しない場合、受診の前に、お近くの保健所か医療機関または検疫所にご連絡ください。
・医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH 感染症情報

出典

WHO. Emergencies preparedness, response. 29 March 2016
Yellow Fever - China
http://www.who.int/csr/don/29-march-2016-yellow-fever-china/en/