2016年04月07日更新 黄熱の発生 -ケニア

 野口英世が研究していた病気としても知られる黄熱は、蚊に媒介されて伝播します。発症すると、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状が現れ、皮膚が黄色くなったり、出血しやすくなったりします。死に至ることも多い病気です。黄熱の感染拡大を防ぐためには、予防接種が最も重要な方法です。特別な治療法はなく、脱水や発熱などの症状を和らげる治療が行われます。

 2016年4月6日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、3月15日と18日に、ケニアの国際保健規則(IHR)国家担当者は、感染輸入された黄熱患者2人を報告しました。

報告の詳細
 
患者は2人とも、ケニア国籍をもつ30歳代の男性で、アンゴラのルアンダ州で仕事をしていました。2人は渡航中に症状を自覚しました。一方、アンゴラへ渡航する前に黄熱に対するワクチンは接種していませんでした。

 1人目の患者は、3月8日にルアンダ州で発症し、3月12日にケニアに旅立ちました。到着と同時に、彼はナイロビにある民間の診療所に入院し、その後に他の医療施設に移されました。患者は多臓器不全となり死亡しました。

 2人目の患者は、3月1日にルアンダ州で症状を示し、3月7日にケニアに帰国しました。彼は、自宅のあるケニアとタンザニアとの国境にある街(Namanga)に行きました。3月11日に病院を受診するためにナイロビに戻った彼は、そこで入院しました。患者は治療を受けてからは回復し、退院しました。

 ケニア医学研究所(KEMRI)により、両方の患者の検体に対して転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法検査および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法検査が行われました。 RT-PCR法検査では、2人の患者は陰性でしたが、両患者ともに得られた検体が、抗黄熱IgM抗体に陽性でした。現在、プラーク減少中和法検査(PRNT)が行われています。

公衆衛生上の取り組み
 
ケニア政府は以下の対策を行っています。

・全国の保健局と関係者に対して、疾病監視、特に入国地点と国内での黄熱に対する監視を強化すること
・地域社会での活動の実施
・感染輸入が確認された患者を管理するための国家対策委員会の活性化
・判定検査施設における検査処理能力の強化
・ウイルス性出血熱(VHF)への備えと早期対策計画を情報更新するためのVHF国家対策委員会の再活性化
・渡航者に黄熱ワクチン接種に関する情報を提供し、入国時に黄熱接種証明書の確認を実施すること

WHOのリスク評価
 
ナイロビでは媒介能力を有するネッタイシマカの生息密度が非常に低く、2人の患者は、ウイルス血症の状態で到着したものの、地域で持続的に感染伝播が起こるリスクは最小限であると考えられています。しかし、黄熱のリスク要因(感染への人の感受性が高い、媒介能力を有する蚊が生息する、宿主となる動物がいる)が存在する国の各地域には、黄熱の持ち込みが潜在的な脅威であることは強調されるべきです。ケニアから他の国に広がり国際的な疾患となる可能性も低いと考えられます。それでも、この病気に対する予防接種が必須とされる国から帰国したワクチン未接種の渡航者で、黄熱が発生したことの報告は、国際保健規則(2005)に則り、予防接種を入国の必要条件とすることの強化が必要であることを強調しています。WHOは、利用可能な最新の情報に基づいて、疫学的な発生状況を監視しリスク評価を行っています。

WHOからのアドバイス
 
WHOは、加盟国、特に地域において蚊が感染伝播するサイクルの確立が可能な場所(即ち、媒介能力をもつ蚊であるネッタイシマカが生息する場所)をもつ国は、潜在的に流行が常在する地域を渡航する者に対して、予防接種の接種状況の管理を強化することを促しています。

 WHOは、入手可能な情報に基づく限り、この流行発生においてケニアへの渡航にも貿易にも制限を推奨していません。

蚊に刺されないための対策
・可能な限り、しっかりと網戸が取り付けられているか、エアコンが設置されている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾート施設を選んで滞在してください。
・長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
・流行地域では、屋外にでかける場合や網戸が取り付けられていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
・子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーを被うように注意してください。

心配な場合には早めの受診を
・海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
・また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当官にご相談ください。帰国後に発症した場合や症状が改善しない場合、受診の前に、お近くの保健所か医療機関または検疫所にご連絡ください。
・医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH 感染症情報

出典

WHO. Disease Outbreak News, Emergencies preparedness, response. 6 April 2016
Yellow Fever -Kenya
http://www.who.int/csr/don/6-april-2016-yellow-fever-kenya/en/