2016年08月12日更新 野生型ポリオの発生 -ナイジェリア

 2016年8月11日付で公表されたWHOの情報によりますと、ナイジェリア政府は、2年以上に亘り発生していなかった野生型ポリオにより、子ども2人が北部Borno(ボルノ州)で麻痺を発症したことを報告しました。この2年間、アフリカでは野生型ポリオの発生がなく、アフリカ大陸ではワクチン由来のポリオが残存するのみとみられていました。しかし、ナイジェリアへの旅行の際にワクチン接種を慎重に検討することが必要な事例が発生しました。今後の情報に注意してください。

発生状況の詳細情報
 
当面の優先課題として、ナイジェリア政府は、WHOおよび世界ポリオ撲滅推進計画の加盟国と協力してさらなる麻痺の子どもの発生を防ぐ緊急対策に取り組んでいます。この対策のステップには、大規模な予防接種キャンペーンの実施、早期にウイルス発見するための監視体制の強化などがあります。これらの活動は、近隣諸国でも強化されています。

 WHOアフリカ地域事務局長Matshidiso Moeti博士は、次のように述べました。

 「私たちは、ナイジェリアで2人の子どもたちがポリオによって麻痺に陥ったというニュースを聞き、深い悲しみを覚えています。ナイジェリア政府は、近年、この麻痺性疾患の阻止に対して大きな躍進を遂げていました。現在、感染が発生した地域周辺の子どもたち全員に、早急にワクチンを予防接種し、これ以上の子どもがこの悲惨な病気に罹ることがないよう、最優先で取り組んでいます。」

 このウイルスの遺伝子配列は、これらの新たな患者が2011年にボルノ州で発見された野生型ウイルス株の配列に極めて近いことを示唆しています。野生型ポリオウイルスの弱いレベルでの感染伝播は予想されないことではありません。特に、子どもに対するワクチン接種が及んでいない地域では想定されることです。ボルノ州のいくつもの地域では、現在も、国のワクチン接種調査の結果との間に解離があります。これは、周辺の国々でも同様です。

ポリオ撲滅の間際での取り組み
 ポリオ撲滅運動のWHO最高責任者Michel Zaffran博士は、次のように述べました。

 「私たちは、ナイジェリア政府との強い協力関係の下での迅速に対処し、この国から直ぐに、また完全にポリオを取り去ることができると信じています。この事例は、世界はポリオ撲滅の間際にあるものの、現状に満足する余裕はないことを、こころに留めておくためには重要です。満足は、世界中からポリオが撲滅されたことが確かめられたときにのみ、成立します。」

 2012年までは、世界中のポリオ患者の半分以上がナイジェリアで発生していました。こかし、この国は大きな躍進を遂げ、2016年7月24日までの2年間はそれを示していました。この躍進は、政府、市民社会、宗教指導者と数万人におよぶ専門の医療従事者など、全てのレベルでの協調と努力の結果によるものです。強化された地域活動、国と地方レベルでの緊急指令センターの設立などの最近の躍進は、ナイジェリアが集団発生に対処するための対処能力において極めて重要でした。

 ナイジェリアでの2例は、子どもへのワクチン接種が届きにくい地域、特に、複数の国にまたがり、しばしば紛争や大規模な人口移動の影響を受けるチャド湖のような地域で、予防接種を優先させる必要性があることを強く示しています。これらの子どもたちに(ワクチンを)届けるためには、ワクチン接種チームがこれらの地域に到達できる環境を整える交渉の役目として、宗教組織や地域集団のような組織基盤による地域レベルの集団や組織を活かし、子どもたちをワクチン接種できにくい地域の内外から移動させながら、これらの人々にワクチンを接種していく必要があります。

 世界では、ポリオ撲滅の目標達成を目前に控えて、2016年には、これまでに野生型ポリオ患者21人が報告されたのみとなっています。昨年の同じ時期には、34人でした。(この2例以外の国では、)わずか2か国(パキスタンとアフガニスタン)でポリオが報告されているのみです。世界にある WHOの6つの地域事務局のうち4つの地域では、ポリオが終息したことが確認されています。世界では、3つある野生型ポリオウイルスのうち1つ(1型)だけが感染伝播しています。

感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO. News release, Media centre. 11 August 2016
Government of Nigeria reports 2 wild polio cases, first since July 2014
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/nigeria-polio/en/