2016年08月23日更新 WHOが人道危機への対策を強化(ポリオ関連) -ナイジェリア

 2016年8月22日付で公表されたWHOの情報によりますと、(ポリオが発生したことで)これまで武装勢力によって支配されていた15の地方自治政府の地域で健康管理が悲惨な状態にあることが分かり、WHOが対策の強化に乗り出しています。

報告の詳細
 WHOの緊急保健チームが2016年8月19日にMaiduguriの街に到着し、これまで武装勢力によって支配されていたナイジェリア北東部で健康管理を必要とする住民80万人の評価と対策に乗り出しました。WHOは、加盟国とともに、健康保健サービスを切実に求める数十万人を支援するために、早急に対策活動の規模を拡大しています。最も深刻な影響を受けた地域であるボルノ州では、医療施設の半数以上が機能マヒの状態です。

 最初の評価は、これまで武装グループが支配していた15の地方自治政府の地域(LGAs)の住民で早急に対策が必要となる健康問題が明らかにされました。これらの地域での推定死亡率は、緊急事態とされる水準よりも4倍も高くなっており、重度の急性栄養不良の発生率は14%と推定されます。また、先週、ナイジェリアでは、この国で2年前を最後に記録されていなかったポリオ患者2人が、ボルノ州で報告されました。1例は現地への到達が可能なLGAですが、もう1例は、現地に行くことさえもできないLGAからの発生です。この地域では、麻しんの発生も報告されており、さらに、人道的な環境における課題が事態を複雑化させています。

 WHOと加盟国の当面の目標は、早急に救命目的の保健サービスの規模を急速に拡大することで、死亡率や病気の発生率を低下させることにあります。WHOは、地元の行政当局や専門家機関と緊密に連携を取りながら、栄養失調、病気の集団発生、および基本的な保健医療サービスの利用環境に対する長期展望の欠如がもたらす健康リスクに取り組んでいます。

 この武装勢力により支配されていた地域での活動環境は、極めて厳しいものです。健康保健サービスにおける大きな溝を埋めるための人的・物的資源と対処能力は、かけ離れて不足しています。武装勢力による人道支援スタッフに、最近もたくさんの襲撃が行われており、治安の不安定は大きな活動の制約となっています。また、毎年の雨季もピークに達し、数週間のうちに大規模な洪水が発生するとの予測もあります。15のLGAへのアクセス環境は、道路事情が悪い上に長距離に亘って護衛部隊を必要とします。

 それでも、WHOと加盟国は、これらの問題に真正面から取り組むために、直ぐにでも踏みだそうとしています。WHOは、既に、緊急の作戦行動、活動の調整、およびデータ管理のためにナイジェリアに専門スタッフを派遣しました。別のチームは、ポリオの感染発生への対策を支援するために現地ボルノ州に入っています。政府は、WHOや加盟国か​​らの支援を受けて、直ちにポリオ予防接種活動を開始しました。予防接種の最初のラウンドは、小児100万人を対象に完了しているはずです。次回の大規模なポリオ予防接種のラウンドは、11月の前に計画されています。WHOは、緊急医薬品や日用品物資も送り出し、一方で、数日中には、組織の緊急作戦行動が、さらに大規模な経験を踏んだチームによって強化されることになっています。

 WHOの緊急事態への対策計画の長官であるDr Peter Salama(ピーター・サラマ博士)は次のように述べています。
「ナイジェリア北部、また、カメルーン、チャド、ニジェールなどチャド湖周辺諸国で見られている長期の紛争は、世界的に、健康上の最大の脅威の一つです。そこでは、小児と妊娠女性での死亡率が世界最大であり、感染症やその集団発生の温床となっているだけでなく、あまりにも長く国際社会から無視され続けています。」

 WHOの緊急の取り組みは、予防接種、妊婦や小児・新生児の健康、HIV感染症への医療などの重要な保健医療サービスの提供を支援していくために、ナイジェリアでその組織が長期に活動できる展望の上で築かれています。WHOは、現在、救命目的の医療活動、特に疾病管理、小児と妊娠女性の健康を最優先として対策の規模を拡大しています。ナイジェリアの保健当局で必要となる資金は、加盟国とともに、最新の情勢に照らして検討されており、2016年の「人道対策計画」の一環として、2500万米ドルと見積もられています。

感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO. Media Centre. 22 August 2016
WHO scales up response to humanitarian crisis in Nigeria
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/response-crisis-nigeria/en/