2016年10月07日更新 野生型ポリオとワクチン由来ポリオの発生 -ナイジェリア

 2016年10月6日付で公表されたWHOの情報によりますと、ナイジェリアで野生型ポリオとワクチン由来ポリオの発生がありました。今後の情報に注意してください。

発生状況の詳細情報
野生型ポリオ(1
型)の集団発生
 
ナイジェリアでは野生型ポリオが2年以上確認されていませんでしたが、政府は、2016年7月と8月に野生型ポリオウイルス1型(WPV1)患者3人を確認したことを報告しました。

 年齢2歳から5歳までの患者3人全員が、ボルノ州で確認されました。このうちの2人は急性弛緩性麻痺(AFP)を発症し、1人は無症候性でした。この患者は急性弛緩性麻痺を起こした患者の濃厚接触者であることが確認されました。

 検出されたウイルスは、2011年にボルノ州で最後に検出されたWPV1株と密接に関係していました。このことは、このウイルス株がその時から検出されないままに伝播を続けていたことを示しています。

ワクチン由来ポリオ患者
 
野生型ポリオ患者の報告に加えて、この地域で実施されている調査活動の強化の一部として、最近、野生型ポリオウイルス1型患者の1人と接触した家族内の健康人から採取された検体でワクチン由来ポリオ(2型)が検出されたことが報告されました。

 この分離株の遺伝子配列の解析からも、このワクチン由来ポリオ(2型)ウイルス株が、少なくとも2年間は検出されることなく、この地域内伝播を続けていたことを示しています。

公衆衛生上の取り組み
 
野生型とワクチン由来のポリオウイルスが検出されたことに応えて、ナイジェリア東北部では地域の流行対策が続けられています。

 現在、大規模な追加の予防接種活動が実施されています。ボルノ州におけるポリオの検出に対して、ナイジェリア政府は、この集団感染が国の公衆衛生上の緊急事態であることを宣言しました。また、隣接する、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、ニジェールの政府も、チャド湖周辺地域に対して、この地域に公衆衛生上の緊急事態を宣言しました。

 地域での感染発生への対策は、すべての国および感染の影響を受けるさらに広く人道的緊急事態のこの状況下にある地域で共同で実施されています。現地のポリオ撲滅チーム、国、地域および世界レベルでのポリオ撲滅チームが、利用できる人的・物的資源の効果を最大に上げるために、そして、この地域で最も感染に弱い住民、ワクチンが必要とされる住民にポリオワクチンがより多くの健康保健への介入とともに届けられるように、人道的緊急事態の対策チーム、その他の国連組織、非政府機関とともに、緊密に連携を図っています。調査活動が、この地域全体で強化されています。

WHOのリスク・アセスメント
 
ナイジェリアでの野生型ポリオウイルス(1型)とワクチン由来ポリオウイルス(2型)の検出は、ポリオウイルスの伝播のリスクとその影響を最小限に抑えるために、あらゆる行政レベルで定期的なワクチンの接種率を高いレベルで維持することが重要であることを強く示しています。

 この事態を終息させるには、感染発生への徹底的な初期対策が必要とされ、将来的に同様の感染発生を防ぐためには、国全体で実際のワクチン接種率を十分に確保することが必要とされます。

 国の一部地域では治安が不安定で(ワクチン接種を)利用できる環境にないことが、感染対策の運営上の課題として上げられ続けています。

 WHOは、この地域で伝播する野生型ポリオウイルス(1型)株とワクチン由来ポリオウイルス(2型)株が、特にチャド湖周辺地域の隣接する地区で国際的に拡がるリスクが高いとみています。

 WHOは疫学的な発生状況と実施されている感染発生への対策を評価・検討していきます。

WHOからのアドバイス
 
すべての国、特にポリオが発生している国や地域に頻繁に行き来する人やその人と接触のある人のいる国では、如何なるポリオウイルスも速やかに発見し、迅速に対策が取れるように、急性弛緩性麻痺(AFP)患者に対する調査活動を強化することが重要です。また、それぞれの国と地域も、新たにあらゆるウイルスを侵入させ出現させることの影響を最小限に押さえるために、すべての行政レベルで等しく定期予防接種の高い接種率を維持する必要があります。

 WHOの国際旅行および健康部局は、ポリオが発生する地域へ向かうすべての旅行者が確実にポリオに対するワクチン接種を行うことを勧告しています。感染の発生地域からの住民(と4週間以上の滞在者)は、国際渡航の12か月前から4週間前までに追加で1回のポリオ生ワクチン(OPV)又は不活化ワクチン(IPV)の接種を受けている必要があります。

 国際保健規則(2005)の下で召集される緊急委員会のアドバイスに従って、ポリオウイルスの国際的な広がりを制限する取り組みとして、国際的な懸念の公衆衛生緊急事態(PHEIC)は維持されています。ポリオウイルスの伝播が発生した国は、一時勧告の対象となります。PHEICに基づいて発行された一時勧告に準拠して、ポリオウイルスの感染が発生したすべての国では、国における公衆衛生上の緊急事態としてのポリオ発生を宣言し、すべての国際間の旅行者に予防接種を考慮する必要があります。ポリオウイルスを感染輸出している国は、何れの国も、すべての国際間の旅行者に出発する前には確実にワクチン接種をしていなければなりません。

感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO. Disease outbreak news, Media centre. 6 October 2016
Wild polio and vaccine derived polio in Nigeria
http://www.who.int/csr/don/06-october-2016-polio-nigeria/en/