2017年02月27日更新 コレラの発生状況-アメリカ大陸

2017年2月24日付で、汎米保健機構(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラの発生状況に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラの発生状況

2017年第1週から第5週までに、ハイチでは1,897人のコレラ患者が報告されました。このうち、28人が死亡しています。ドミニカ共和国では、2017年初めから第2週までに、コレラ疑い患者7人と確定患者2人が報告されました。
2016年には、アメリカ大陸の4か国、ドミニカ共和国(1,159人)、エクアドル(1人)、ハイチ(41,421人)、メキシコ(1人)で、疑い患者と確定患者が報告されました。

ハイチでは、2017年第1週から第5週までに、死亡者28人(致死率1.5%)を含めてコレラ疑い患者と確定患者1,897人が報告されました。この期間に報告された患者数は、2015年および2016年よりも少なくなっています。病院での死亡率については、2011年以降1%前後に留まっています。
県レベルでは、第5週に最も多く報告されたのは、多い順に、Artibonite(アルティボニット県)、Centre(中央県)、Nord(北県)、Nord-Ouest (北西県)、ポルトープランスを含むOuest (西県)からでした。2016年10月4日にハリケーン・マシューの通過によって深刻な被害の出たGrand'Anse(グランダンス県)とSud(南県)では、それぞれに第43週と第42週にピークを迎えた後、疑い患者の数は減少の傾向を示し、低いレベルとなっています。

ドミニカ共和国では、2017年第2週までに、コレラ患者9人が報告されました。2016年の同じ時期には、この2.3倍の数でした。また、2016年第1週から第52週までに、死亡者27人を含むコレラ疑い患者1,159人が報告されました(致死率2.3%)。2016年に報告された合計の患者数は、2014年、2015年と比べて多くなっています。

各国の保健当局へのアドバイス

PAHO / WHOでは、Hispaniola島でのコレラ発生状況を踏まえ、コレラの拡大を防ぎ、医療を適切に行うために、疑い患者を早期に発見するための積極的な監視体制を強化し、速やかに患者を確定診断することを、各加盟国に勧告しています。PAHO / WHOは、加盟国に対し、コレラおよびその他の飲料水による病気からの脅威を和らげるために、十分な衛生環境と安全な飲料水の利用環境を確保し、維持する取り組みを継続することを促しています。

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。
これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報

出典

PAHO.Epidemiological Update. Cholera. 24February2017
Cholera in the Americas- Situation summary
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=38251&lang=en