港湾区域の衛生管理
国際航行する船舶や航空機を介して、感染症を媒介するネズミや蚊などの動物が国内に侵入・定着する可能性があることから、国際保健規則(IHR2005)では、国際航行する船舶や航空機が到着する地域における感染症媒介動物の管理が求められています。
我が国では、検疫法に基づき、海外から来航する船舶や航空機が到着する検疫港や検疫飛行場の衛生状態を明らかにするため、ネズミや蚊などの感染症媒介動物に関する生息調査及び侵入調査を定期的に実施しています。
神戸検疫所では、神戸港、尼崎西宮芦屋港でこれらの調査を実施し、衛生状態の把握に努めています。

1.ねずみ族調査
ネズミは、南米出血熱、ペスト、ラッサ熱、腎症候性出血熱、ハンタウイルス肺症候群などの様々な感染症を媒介することが知られています。このような感染症がネズミを介して国内へ侵入、蔓延することを防止するため、港湾区域に捕そ器(ネズミかご)を設置し、捕獲したネズミについては種類の同定や病原体保有検査を実施しています。
倉庫内で発見したネズミの証跡(ふん)
捕そ器(ネズミかご)の設置
捕獲したネズミ
倉庫内に仕掛けた毒えさ
2.蚊族調査
蚊は、チクングニア熱、デング熱、マラリア、ウエストナイル熱、日本脳炎などの様々な感染症を媒介することが知られています。
このような感染症が蚊を介して国内へ侵入、蔓延することを防止するため、港湾区域において、成虫調査用のライトトラップ、幼虫調査用のオビトラップの設置による採集や、側溝などの自然水域での採集を行い、採集された蚊については種類の同定や病原体保有検査を実施しています。
オビトラップ
(人工容器に蚊を産卵させ採集)
炭酸ガス・ライトトラップ
(蚊の成虫を採集)
ヒシャクによる蚊の幼虫の採集
3.関係機関との連携
港湾の衛生状態を良好に保持し、検疫感染症等の国内侵入や蔓延を防止するためには、関係機関との連携が必要不可欠であることから、神戸港衛生管理運営協議会、尼崎西宮芦屋港衛生管理運営協議会等を設置し、定期的に開催することにより、調査結果等の共有や、専門家の講演等による港湾衛生思想の向上に努めています。
港湾衛生担当者会議