カンボジアで10例目のH5N1型鳥インフルエンザ患者

カンボジア政府保健省とWHOの共同発表(プレスリリース)  2010年4月21日

カンボジア保健省は、4月17日、プレイヴェン県(Prey Veng Province)のカンポン地方(Kampong Leave District)で27歳の男性がH5N1型鳥インフルエンザによる呼吸器症状のため死亡したと発表しました。この症例はカンボジアで10例目のH5N1型鳥インフルエンザ感染例で、うち8例目の死亡症例に当たります。

この患者は4月13日に自宅で高熱を出し、咳と呼吸速迫のために16日に現地の病院に入院しました。患者の容体が悪化したため、翌17日に首都プノンペンのカルメッテ病院(Calmette Hospital)に搬送され、集中治療室に移されましたが、その日の午後死亡しました。患者からの検体はカンボジアのパスツール研究所に送られ、H5N1型鳥インフルエンザと診断されました。

これを受けて、カンボジアの保健大臣は、H5N1型鳥インフルエンザはカンボジア国民にとって今なお健康への脅威であるという声明を発表しました。さらに保健大臣は住民らに向けて、弱っている家禽や鳥の死骸を見つけたら、住民に感染が広がらないうちに調査を開始できるように保健省や農業省のホットラインに連絡するよう呼びかけています。

H5N1型インフルエンザウィルスは通常鳥から鳥へ感染しますが、時として鳥からヒトへ感染します。しかし、H5N1型インフルエンザウィルスは、容易にはヒトの間で広がりません。ヒトのH5N1型インフルエンザはとても重篤な病気で、ほぼ全て入院が必要となります。H5N1型インフルエンザウィルスは、H1N1型パンデミックインフルエンザウィルスとは違う種類です。H1N1型インフルエンザは比較的マイルドな病気で、季節性インフルエンザに近い病態です。H1N1型インフルエンザはヒトからヒトに容易に感染が拡大しますが、多くの患者は治癒します。

カンボジア保健省のアウトブレイク即応チームは、今回のH5N1型鳥インフルエンザ患者が発生した地域へ赴き調査を開始しています。現地で患者との濃厚接触があったかどうか、住民への予防薬の投与が必要かどうかを確かめるためです。

カンボジア政府の公衆衛生キャンペーンでは、鳥インフルエンザにかからないための教育キャンペーンを行っています。このキャンペーンでは、「手洗いを励行しましょう」「安全な食べ物を用意しましょう」「子供たちが家禽に近づかないようにしましょう」「家禽を住民の生活区域から離しましょう」そして「死んだ家禽を食べないようにしましょう」と呼びかけています。

カンボジア保健省は、農業省とも協力して、今回鳥が死んだと思われる地域を調査しています。

カンボジアでは、2010年4月20日現在、検体検査で10例のH5N1型鳥インフルエンザウィルスのヒトへの感染例が確認されています。そのうち8例は死亡しました。世界中では2003年以来494例のH5N1型鳥インフルエンザウィルスのヒトへの感染例が確認され、そのうち293例が死亡しました。

カンボジア保健省は今後もウェブサイトを通じて情報や啓発資料を公開してゆきます。

カンボジア保健省

カンボジア保健省インフルエンザ・ホットライン155-012-488-981
089-669-567
カンボジア保健省担当者直通+855-12-856-848 (Dr.Sok Touch)
+855-12-825-424 (Dr.Ly Sovann)
WHOカンボジア事務所担当者直通+855-23-216-610
(Dr.Pieter Van Maran, Dr.Nima Asgari)