リフトバレー熱の流行-南アフリカ(更新情報2)

WHO(GAR)  2010年5月11日

今週の更新情報

2010年5月11日、ドイツにあるBernhard-Nocht熱帯医学研究所は、リフトバレー熱(RVF)への感染が南アフリカからの帰国後に疑われたドイツ人旅行者に対して、ドイツおよび南アフリカで行われた追加検査の結果は、RVFウイルス感染ではなくリケッチア感染であったと報告しました。

一般にダニ熱として知られているリケッチアは、ノミやシラミ、ダニといった寄生性の吸血性節足動物によって媒介感染する、多くの疾患の原因細菌です。リケッチア疾患の症状には発疹、発熱、インフルエンザ様症状などがあります。アフリカダニ熱はrickettsia africaeによって起こるダニ熱で、発疹はあまり目立たず、複雑な病型に進展することがほとんどない軽めの疾患です。リケッチア疾患はすべてドキシサイクリンやテトラサイクリンといった抗生物質による治療に反応します。

現在の状況

5月10日の時点で、南アフリカ政府は人のRVF感染確定例として、フリーステート州、東ケープ州、北ケープ州、西ケープ州、北西州で186例を報告しており、このうち18例が死亡しています。RVFは主としてウシ、バッファロー、ヒツジ、ヤギ、ラクダなどの動物に感染するウイルス性疾患です。RVFの主な感染経路は感染した動物の血液や臓器に直接ないし、間接的に接触することです。また、感染を受けた蚊に刺されることで人の感染が起こっています。感染した動物のミルクを未殺菌のまま、あるいは火を通さずに摂取することで、人が感染する可能性があるという証拠もあります。

WHOは南アフリカに向かう、あるいは南アフリカからの海外旅行を制限しないように助言します。一方で、WHOは南アフリカへの訪問者に対して、特に農場や(と)猟鳥獣保護区域を訪れる予定がある人に対して、動物の組織や血液に接触する事を避けるように、また、未殺菌であったり火を通していないミルクを飲んだり、生肉を食べたりしないように勧奨します。

旅行者はすべて蚊やその他の吸血性の虫から刺されるのを避けるため、虫よけ剤の使用や長袖のシャツやズボンの着用、蚊帳の中で寝るなどといった、適切な予防措置をとらなければなりません。旅行医学の専門家や旅行医療従事者は適切な助言やケアを提供するために、現在の南アフリカでのRVFの状況について注意を払うべきです。

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