警報:バリ島旅行者における疾患リスク

西オーストラリア州保健部 2010年7月05日

西オーストラリア在住者は旅行する際に、特にバリで休日を過ごす場合、感染症に対して注意しなければなりません。

伝染性疾患管理局のPaul Armstrong医師は、旅行者はデング熱などのように蚊で媒介される疾患、感染性胃腸炎、性感染症、狂犬病などの種々の伝染性疾患に対して注意する必要があると述べました。「西オーストラリアで通報を受けたデング熱は、2006年の16件から2010年は上半期だけで151例に増加しております。これらのほとんどがバリ島への旅行者に起こっています。」

デング熱の症状は蚊に刺された後、3日から14日の間に起こり、発熱、強い頭痛、関節痛、筋肉痛、目の奥の痛み、吐き気、嘔吐、発疹などの症状を起こします。

ほとんどの人はこの病気にかかっても完全に回復しますが、まれではありますが、致死的な形の病気に発展する危険もあります。デング熱を媒介する蚊は、通常日中に、日陰、屋内環境で刺咬します。蚊に刺されないようにするには次のような注意をすることが重要です。

  • 宿泊施設が蚊の入れないような構造になっていることを確かめます。蚊帳を使用します。部屋の中では殺虫剤を使ったり、蚊取り線香を使ったり、蚊取りマットを使用します。
  • 防御用には、長袖の皮膚に、皮膚にぴったりとつかないゆるやかな、また、色の明るい服を着用します。
  • diethyl toluamide(DEET) やpicaridinを含んだ昆虫忌避剤を使用します。効果が最も高く、持続性の長い剤型はローションかジェルです。自然由来の、あるいは有機製剤の忌避剤は効果が薄いかもしれません。
  • 乳児や小児が屋内で寝たり、遊んだりしている間には、蚊にされないように十分に保護してあげるように注意します。蚊を避けられるような服装や蚊帳を使うことが望ましいです。子どもに対しては、幼児用の濃度の低い忌避剤だけを使用しなければなりません。

急性胃腸炎も旅行者では非常に多く、いろいろな種類の細菌やウィルス、寄生虫によって起こる可能性があるとArmstrong医師は述べています。西オーストラリアで通告を受けたサルモネラ感染の約3分の1が海外で感染したもので、そのほとんどがバリでした。
「発展途上国に旅行する人は、自分たちが食べたり飲んだりするものに対して、非常に注意しなければいけません。急性胃腸炎になる危険を減らすためには、サラダや生や半熟の卵、そして皮が付いたままで食されるフルーツをとらないようにしなければなりません。」
Armstrong医師は、淋病、クラミジア、HIVなどの性行為感染症のリスクが、行きずりのセックスをする旅行者にあると言っています。そして安全なセックスのためのメッセージに注意を向けることが重要であると、強調しています。
狂犬病もバリ島では大きな問題です。動物、特に犬に咬まれた後に狂犬病で亡くなったバリ島住民は、この2年間で約62名います。このような咬傷事故の多くがバリ島の南部地域で続いており、ここは旅行者の人気の高い地域です。
Armstrong医師は、バリ島の哺乳類は犬、猫、コウモリ、猿などすべて、狂犬病感染のリスクがあると考えなければならないと言っています。リスクのある暴露には、咬傷、引っ掻き傷などがあります。
バリ島やその他の国で動物に咬まれたり、引っ掻かれたりした場合、旅行者は直ちに医療処置を求めなければいけません。その場合、通常暴露後予防接種を完全に行うことが必要です。狂犬病は一旦症状が出た場合にはまず致死的です。さらに情報が必要な場合や、旅行に関する助言が欲しい場合には、旅行に関する外務通商局のウェブサイトを参照してください。

日本での状況

日本でもインドネシア、とくにバリ島への旅行者でデング熱に罹患する症例が急増していることが、国立感染症研究所で報告されています
医療従事者、旅行関連産業の方は旅行者の十分に注意を喚起するようにお願いいたします。