フランスのデング熱症例

ECDC 2010年9月16日

2010年9月13日フランス保健省はフランス都市部のデング熱土着感染症例を初めて報告しました。この感染者はニース在住で、2010年8月に発症し、その後完全に回復しました。9月初めに検査室診断でデング熱感染であることが確認されました。

このような事態はフランス南部では起こりうると考えられていました。それは、この地域では非常に多数の輸入デング熱症例がみられていること、そして、ネッタイシマカよりはベクターとしての効率は低いものの、ベクターになることが知られているヒトスジシマカが生息していることによります。しかしながら、ギリシャで1927年から1928年にかけて大規模なデング熱感染のアウトブレイクが生じて以来、初めてヨーロッパ大陸で土着性のデング熱ウイルス伝播が生じたという点で、この事態は公衆衛生上特記すべき問題です。
この事態に対して、フランス当局は疫学的および昆虫学的なサーベイランスをアルプ=マリティーム県(Alpes-Maritimes)で行っています。また、ベクター制御をこの報告症例の居住地周囲で実行しており、現在、一般大衆および医療従事者向けに情報提供キャンペーンを行っています。現在のところ、その他の症例は報告されていません。
デング熱は、通常感染した蚊によって媒介されるベクター媒介性疾患です。通常、大規模なアウトブレイクにはネッタイシマカ種が関与してきました。しかし、ヒトスジシマカもヒトにこのウイルスを伝播することが知られています。この疾患は、発熱、頭痛、全身痛などの症状を示す急性疾患で、どの年齢層にも感染します。症例の一部が出血症状を呈し、時に致死性です。

その他の情報源

  1. a)Institut Veille Sanitaire:Dengue general(フランス語)
  2. b)Aedes albopictus distribution in France(フランス語)[PDF形式:752KB]