セネガルでガンビア在住者の黄熱が発生
WHO(GAR) 2010年10月05日
2010年9月20日、セネガル保健省は、ダカールからおよそ50km離れたThies地域のMbour保健区域で、黄熱の疑い症例が1例生じたことを報告しました。この疑い症例はダカールの病院に入院しました。
この症例はガンビアのTandji 地区で漁師をしている27歳の男性で、発熱、黄疸の症状がみられました。この患者の血液検体は、ダカールのパスツール研究所で検査され、ELISA法でIgM陽性、精密検査であるPRNT(プラーク減少中和試験)の結果、確定診断されました。この患者は黄熱の予防接種をうけていませんでした。
セネガルのThies地域で、2例目の疑い患者が、同じくガンビアのTandji地区からの漁師に発生しました。この患者は精神状態の変化などの神経症状を呈しました。この患者はダカールパスツール研究所での確定診断は受けていません。
Tandji 地区の流行状況の評価を目的に、WHOを介してガンビアに対して情報提供がなされました。
過去にアウトブレイクが生じた際の対応として、セネガルでは2007年に黄熱予防のための大規模なワクチン接種キャンペーンが、ワクチン接種による保護が行われていなかった18地域すべてに在住の310万人を対象に行われていました。Thies保健地区では314,713人の人がワクチンの対象となり、ワクチン接種率は91.8%(88.3-95.3%)でした。この予防接種キャンペーンは、黄熱流行を予防し、アフリカに十分な黄熱ワクチンを確実に供給できるようことを目的とした、全世界黄熱予防活動の一環として行われていました。セネガルでのルーチンの黄熱に対する小児予防接種率は2009年では79%でした。
ガンビアでは1978-1979年の黄熱の流行の後に、村単位で後方視的な血清学的調査が行われ、およそ8000人が感染し、1700人が死亡したと推定されました。いくつかの報告によると、ガンビアの国としての予防接種率は1979年1月の段階で推定95%でした。2009の小児予防接種率は99%であると報告されています。
セネガルおよびガンビアで、ルーチン予防接種の接種率が高く、最近防御目的の予防接種が追加されたことを考慮すると、今後流行するとは考えにくく、現時点では緊急予防接種は必要ないと考えられます。この散発症例の周辺調査を行うことによって、予防接種未接種者のいる地域が検出され、リスクのある地域に対して予防接種、媒介蚊の制御戦略をとる上で役立つ可能性があります。