ハイチでコレラが確認される

CDC 2010年10月25日

(この情報は2010年10月22日東部時間11:30分のもの)
2010年10月21日にハイチでコレラのアウトブレイクが確認されました。コレラは何十年もの間、ハイチでは報告されていませんでした。このため、2010年1月の地震に引き続いて、すぐにハイチでコレラ感染が起きるとことは考えにくいとされていました。コレラのアウトブレイクが生じたとされるには、二つの条件が満たされなければなりません。それは、(1)住民が集団で使用している水、下水施設、衛生施設の不備があり、コレラ菌で汚染されている食物や水への大規模な暴露がおきる可能性があること。(2)コレラが住民の間で検出されること、です。どうやってハイチに再度コレラが持ち込まれたのかについては不明ですが、現在ハイチではこの二つの条件が満たされています。

コレラ感染はほとんどの場合症状がないか、軽度の胃腸炎をきたすだけです。しかし、感染した人の5%に重症で脱水へとつながる、急性水様性下痢症が生じます。コレラに対する第一の治療は脱水の補正です。経口補水塩の処方や、必要に応じた水分および電解質の点滴を、十分に、時期を失しないように行うことによって、症例死亡率を1%未満に抑えることができます。コレラ重症例に対しては、流行株が感受性を示す抗菌剤で治療する必要があります。コレラ軽症例では抗菌剤の使用は勧められず、コレラを予防するため大規模な「薬物予防(chemoprophylaxis)」を行ってはなりません。

急性水様性下痢症をきたす他の疾患と同様に、コレラ予防とそのコントロールに際しては、サーベイランス、飲料水および食物の安全性を高めるための十分な処置、糞便の廃棄および手洗いに必要な設備を整え実践することが必要です。コレラのアウトブレイクのコントロールにワクチンを使用するのは簡単ではありませんが、ハイチでは高リスクの人々を対象にワクチンを使用することも考えられています。