ハイチでのコレラ流行-現在の状況

PAHO(汎米保健機構)

ハイチで最初のコレラ発生が確認されてから、流行44週(EW44)までに、合計8,138の入院例と544の死亡例が記録されました。症例が記録された県は、今のところ、アルティボニット県(Artibonite)、中央県(Central)、西県(Ouest)、北西県*(Nort Ouest)、北県(Nord)のままです。Artibonite県が最も高い症例罹患率を報告しており、住民1万人あたり49症例、これに引き続きNord県が住民1万人あたり11症例、Central県が住民1万人あたり10症例です。 ポルトープランスの疑似患者の集団発生事例、およびその周囲の事例が現在調査されています。

EW44の時点、全国レベルで、計544の死亡例のうち57%が医療機関で死亡し、43%が地域で死亡したと記録されています。全国レベルで医療機関において観察された、毎日の致死率は、2.2%から6.0%(平均3.8%)でした。これに対して、Artibonite県では、致死率は1.2%から6.8%(平均3.5%)でした。 症例管理を改善する努力と公共医療機関へのアクセスを改善する努力によって、致死率がどの程度影響を受けているか、現在分析されています。
年齢別の情報が利用可能な5,074の入院症例では、11%は5歳未満の小児で、89%が5歳以上でした。

ハリケーン「Tomas」により、ハイチでのコレラ対策に、新たな問題が生じました。 現在、洪水の患者ケアに対する影響、および、Artibonite県の多数の地域でのコレラのアウトブレイクの発生に対する影響について、評価が行われています。このアウトブレイクによって、ほとんどの域内諸国からも対応がみられています。域内諸国は新たな準備を進め、対策を練り直し、アウトブレイクをただちに検出できるようにサーベイランスシステムを強化しています。
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汎米保健機構による対策
*注:WHOの10/28の報告では北東県が含まれ、11/4の報告では北東県は含まれず、北西県となっていました。11/4の報告時点ではPAHOの地図情報から、北西県ではなく、北東県が感染地域であるとしましたが、今回のPAHOの地図情報では北西県が感染地域であり、北東県は含まれておりません。情報の混乱があったと考えられます。添付されたPAHOの図のように、北東県での発生は明らかではなく、北西県で発生が確認されています。

図.ハイチでのコレラの累積症例数とその分析
地図:累積症例数とその分析(2010/10/28)

文献

  1. 1.Preliminary data Ministère de la Sante Publique et de la Population de Haïti.
  2. 2.Population Data: U.S.Census Bureau Population Data.GEOINT Online.National GeoSpatial Intelligence Agency.Available at:https://www.geoint-online.net/community/haitiearthquake/Geospatial%20Data%20Files/Forms/AllItems.aspx
  3. 3.Population Movement. Ocha. 22February2010.
  4. 4.Prevention and control of cholera outbreaks, WHO policy and recommendations,