ハイチでのコレラ流行 続報

情報源:汎米保健機構(PAHO) 2010年12月03日

この情報は、ハイチ保健人口省(MSPP)によって提供されたものです。MSPPは、Health Clusterに所属するパートナーから得られたデータを、統合した上で発表しています。
流行42週に最初のコレラ症例が確認されて以来、47週までの間に、MSPPは全国で累積77,208例のコレラ症例と、34,248例の入院症例(全症例の44%)、1,751例の死亡例を報告しました。死亡例に関する統計では、MSPPが把握した全死亡例の70%が医療施設で死亡し、30%が地域レベルで死亡しました。医療施設での致死率は1.6%に当たります。

現在、ハイチの10県すべてでコレラ症例が発生し、9の県で死者がでています。もっとも死者が多いのはアルティボニット県(Artibonite)で、人口10万人当たり246、次いで北西県(Nort Ouest)114、中央県(Central)の102例と続きます。

ポルトープランスおよび首都地域では、最初の検査確認症例の後、47週までに累積3,487の入院症例、164の死亡例(96%が医療施設、4%が地域レベル)を含む10,542の症例が報告されています。医療施設での致死率は1.5%でした。

現在の傾向、および、MSPPの最近の報告ではコレラによる医療施設受診に関するデータも含まれていることを考慮すると、疾病の傾向について観察に値するのは、コレラによる1日当たり入院数に基づくものだけと考えられます。流行47週では、国レベル1日当たり入院数が、前週に比べて若干減少しています。同じ傾向が、アルティボニット県、中央県、北西県、西県でもみられます。

今週中も、北県、特にCap Haitienへの交通は困難な状況でした。しかし、PAHO/WHOは今週金曜日に医療関係のパートナーに対して、何とか1トンの医療物資を供給することができました。

今週とられた活動としては

  1. 1.北西県での警戒活動。
  2. 2.北県および北西県での、水浄化用錠剤および病院用物資の配給。
  3. 3.北東県での新たなCICおよびCTUの開設。
  4. 4.ポルトープランスのキャンプで衛生設備を充実させる。79名の住民が水処理のための訓練を受け、127名がキャンプ内で地域対策活動を行う訓練を受けました。
  5. 5.各県の地域代表者に対して、重点をアウトブレイクの制御に置いた訓練を行います。

ドミニカ共和国

流行46週に、最初のコレラ症例が検査で確認されて以来、また、公衆衛生省によって開始されたサーベイランス強化により、9例のコレラ症例が確認され、そのうちの4名は入院を要しました。1例は輸入症例であると考えられましたが、残りの8例は地域内感染症例と考えられました。症例はSanto Domingo Esteで4例、 Santo Domingo Norteで1例(首都地区(National District))、Navarreteで3例(サンティアゴ州(Santiago))発生しました。
8例の地域感染症例の中で2例が親戚でした。他の症例に疫学的な関連があることは示されていません
保健省はコレラに対する国家臨時対策を引き続き実行しており、サーベイランス、リスクコミュニケーション、水回りの衛生や環境衛生、食物の品質管理、医療施設のネットワーク化に関する対応を強化しています。

PAHOは以下のガイドラインが旅行および貿易に関して妥当であると考えており、諸国が実行することを推奨します。

  • コレラの拡大を制御することを目的に、人の移動制限のための検疫や、貨物や感染者の入国禁止処置などを行う必要はありません。
  • 単にコレラが流行している、あるいは地域性感染がみられるという事実だけに基づき、人の移動制限を行ったり、製造過程に問題がない食品の輸入制限を行ったりすることに、全く妥当性はありません。

文献

  1. 1.Préliminaire data Ministère de la Sante Publique et de la Population de Haïti.
    http://www.mspp.gouv.ht/site/index.php?option=com_content&view=article&id=57&Itemid=1
  2. 2.Bulletin Journalier #1. Centre d'Operation d'Urgence Nationale (COUN).
    http://www.mspp.gouv.ht/site/index.php?option=com_content&view=article&id=57&Itemid=1
  3. 3.Health Cluster Bulletin N°5, November, 27 2010.
    http://new.paho.org/hq/index.php?option=com_content&task=view&id=4404&Itemid=3487