ハイチでのコレラ流行 続報
情報源:汎米保健機構(PAHO)2010/12/16
ハイチ
前回と同様に、この情報はハイチ保健人口省(MSPP)によって提供されたものです。MSPPは、Health Clusterに所属するパートナーから得られたデータを、統合した上で発表しています。
流行42週から49週までの間に、MSPPは全国で累積107,656例のコレラ症例、その中の49.7%に当たる53,484例の入院症例、2,376例の死亡例を報告しました。死亡例に関しては1,626例が医療施設で死亡し、750例が地域レベルで死亡しました。49週の時点での医療施設での致死率は3.0%で、全症例の致死率は2.2%です。
現在、ハイチの10県すべてでコレラが発生しており、死亡例もみられています。過去2週間の流行週で最も累積症例率が多いのはアルティボニット県(Artibonite)で、人口1万人当たり290例、次いで北西県(Nort Ouest)172、中央県(Central)146例、北県(Nord)143例と続きます。
ポルトープランスおよび首都地域では、44週から49週までに累積17,128例のコレラ症例が発生し、その中の35.3%、6,040例が入院し、210例(202例が医療施設、8例が地域レベル)が死亡しました。49週の時点で医療施設での累積致死率は3.3%で、全症例の致死率は1.2%でした。
各県のレベルでみると、49週の段階で、アルティボニット県、中央県、北県、北西県では、コレラ症例数、入院数は減少しましたが、その他の6県ではこれらの指標は増加しています。
49週で、7つの県で入院症例の死亡率が48週の時点よりも減少したことは、特筆すべきことです。アルティボニット県、北西県の2県では同等で推移し、北県でのみ若干の情報みられました。
コレラ症例数、入院数、死亡数に関する日々の更新情報は、次のリンクにあるコレラ:インターラクティブ地図で見ることができます。
http://new.paho.org/hq/images/Atlas_IHR/CholeraHispaniola/atlas.html
Health Clusterによって、国および県レベルで行われている対応に関する報告は、以下のリンクで参照できます。
http://new.paho.org/hq/index.php?option=com_content&task=view&id=4404&Itemid=3487
ドミニカ共和国
流行46週から49週にかけて、ドミニカ共和国公衆衛生省は、38例のコレラ確定患者を報告しました。27例が入院を要しましたが、死亡例の報告はありません。また、2例は輸入症例で、36例が地域感染症例であると考えられています。
49週の段階で症例が見られた県は6県あり、Elias Piña県、Santo Domingo県、Santiago県、Valverde県、Dajabón県、San Juan県です。Santo Domingo県の症例は家族間で集団発生したもので、Santiago県、Elias Piña県、San Juan県の症例は地域レベルで生じたものでした。Santo Domingo県では、Santo Domingo Este市で6例、Santo Domingo Norte市で1例の発生がありました。Santiago県では、Navarrete市で6例、Janico市で1例、San Juan市で1例、Santiago市で1例、Platanal市で1例報告されています。. Valverde県ではMao市で1例報告されています。Elias Piña県では、Sabana Cruz de Bánica市で8例、Comendado市で1例報告されています。San Juan 県では4例中San Juan de la Maguana市で3例報告されており、Dajabón県ではLoma la Cabrera市で1症例が報告されています。
保健省は、引き続きコレラに対する国家臨時対策を実行しています。地域共同体での健康増進活動、広報活動、症例ケアや治療のための医療サービスネットワークの強化、地域でのコレラ疑い症例の積極的検出、保健活動推進目的の地域連携を確立するためのネットワークづくり、地域の消毒、水回りの衛生や環境衛生などの、異なった戦略に基づいて対応しています。
PAHOは加盟国に対して、サーベイランス、対応策および準備案の更新、適切な予防対策や広報について、強化するように注意喚起します。
WHOによる12月7日の更新情報を次に掲げます。
ハイチへの旅行、貿易とコレラ流行
http://www.who.int/ith/updates/20101207/en/index.html
2010年12月7日
旅行者や短期滞在者は、安全な食事を心掛け、衛生に十分に注意を払う限り、コレラにかかることはあまりありません。しかし、依然としてコレラは、水の供給や下水整備、食物の安全、衛生状態が十分とは言えない地域で、重大なアウトブレイクを起こしています。WHOはハイチのコレラアウトブレイクに対して、旅行や貿易の制限を、いかなる形で行うことも推奨しません。政府当局は、到着客に対して、コレラの症状、衛生上の予防方法、症状が生じた場合の医療の受け方について、情報を伝えるようにして下さい。また、当局は世界的なコレラ流行状況、特に現在起きているアウトブレイクについて、トラベルクリニック、旅行医学ネットワーク、他の医療ネットワークに情報提供するようにしてください。