南オーストラリア州リバーランドで蚊からクンジンウイルスが検出

南オーストラリア州保健局 2011年03月11日

直ちにすべての医師は注意するようにしてください

  • クンジンウイルス(Kunjin virus)が、Berri近郊で、ルーチンのサーベイランスの中で捕集した蚊から検出されました。
  • 南オーストラリアでは20年以上にわたってクンジンウイルス感染症は起きていません。
  • クンジンウイルス感染症の人における症状は、ロスリバーウイルス感染症と同様ですが、まれに脳炎症状を呈する重症症状をきたす場合があります。
  • その他のアルボウイルス感染症(ロスリバーウイルス感染症、バーマ森林ウイルス感染症)の報告が、1月以降明らかに増加しています。
  • 最も有効な予防方法は、蚊に刺されないようにすることです。

最近、リバーバレー地域に流入する水量の増加、および、局所的な洪水がみられたことを受けて、南オーストラリア大学は、地方政府および南オーストラリア州保健局と共同で、蚊のトラップと蚊に対するウイルスクリーニングを強化していました。 本日、南オーストラリア州保健局は、2月末にBerri近郊で捕集された蚊からのサンプルが、クンジンウイルス陽性であったことについて、情報提供されました。
南オーストラリア州では20年以上にわたって、クンジンウイルス感染症は報告されていません。しかし、北オーストラリアではクンジンウイルス感染症は、南オーストラリアに比して一般的な疾患です。

症状

この感染症は非常にまれであるため、臨床パターンについての情報が限られています。人におけるクンジンウイルス感染症例の多くは、おそらく無症候性ですが、ロスリバーウイルス感染症と同様の症状が起こることがあります。それは、発熱、頭痛、発疹、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感、リンパ節腫張です。
通常、症状は数週間から数ヶ月にわたって続きますが、それ以上長引く場合もあります。
クンジンウイルス感染症では、まれに重い症状が起きることがあり、発熱、意識低下、頭痛、頸部硬直、悪心および眩暈感、さらに痙攣、昏睡、不可逆的な中枢神経障害から死亡に至るまでの、脳炎症状を呈することがあります。
幼若小児の場合には、神経症状や神経所見が出現する前の、唯一の初期症状が発熱である場合があります。

検査

クンジンウイルス感染症に対する検査を行うのは、蚊に対して暴露を受けたことがある場合、臨床的に非常に疑われる場合、この感染症に合致する神経症状や所見がある場合に限られなければなりません。テスト結果は2週間程度かかる場合もあり、現在の検査法では、他のアルボウイルス感染症に高率の交差反応が見られるため、解釈することは困難です。

蚊媒介性ウイルスの増加

ロスリバーウイルス感染症、バーマ森林ウイルス感染症などの、蚊媒介性感染症人症例数が優位に増加していることが、1月以来南オーストラリアで報告されています。最近、リバーランド地方における蚊のトラップに対するウイルススクリーニングで、EdgehillウイルスやSindbisウイルスも同定されています。これらのウイルスにより人に症状がみられることはほとんどありません。
ビクトリア州で、マレーバレー脳炎の人疑い症例が1例報告されています。また、アルボウイルス感染症による可能性がある、馬の神経疾患症例が報告されています。

治療

ロスリバーウイルス感染症やバーマ森林ウイルス感染症と同様、クンジンウイルス感染症に対する特別な治療法はありません。このため、最も効果のある制御手段は、蚊に刺されることを予防することです。南オーストラリア州保健局は、地方政府と、蚊に対する制御法の分野で共同作業を続けています。南オーストラリア州保健局は、蚊の密度が高い地域に居住していたり、旅行したりする人に対し、以下の方法をとって、蚊から刺されないように十分に注意するよう推奨します。

  • 蚊が活動性の高い時間帯には戸外で蚊の暴露を避けること。
  • 衣類を通して蚊から刺されることを避けるため、長めのゆったりとした、十分な厚さのある服で体を覆うこと。
  • DEET やPicaridinを含有した虫除け剤を、皮膚の露出した部分に使用すること(しかし、新生児や幼児には使用しないようにしてください。)。
  • 蚊帳や蚊除け機能のあるテントを使用し、住居では網戸を使用すること。

図.オーストラリアの図