オーストラリアでマレーバレー脳炎の人症例が発生

フランス公衆衛生院 2011年04月07日

2011年3月30日に、オーストラリア保健当局は、マレーバレー脳炎(EMV)の人症例を2例確認したと報告しました。
この2例はいずれも男性で、47歳の症例では状態が安定していますが、27歳の症例は憂慮すべき状態にあります。この2症例は、南オーストラリア州のRiverlandで発生しました。(地図をご参照ください)。

図.オーストラリアでマレーバレー脳炎の人症例

  • 南オーストラリア州では、1974年に最後にマレーバレー脳炎が報告されて以来、これが初めての症例です。(2001年にノーザンテリトリーで感染したマレーバレー脳炎症例が1例報告されました。)
    (BHI No.191[PDF形式:678KB])
  • オーストラリアでマレーバレー脳炎ウイルスが再興感染を起こしている中で、これらの症例は生じました。
  • 2011年3月から、ビクトリア州保健当局はマレーバレー脳炎が疑われる男性の死亡例を1例報告しました。
    (BHI No.286[PDF形式:635KB])
  • 2011年2月以来、マレーバレー脳炎ウイルスが、ビクトリア州およびニューサウスウェールズ州でウイルス検出用のニワトリから分離されました。
  • 2011年2月以来、南オーストラリア州、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州で、神経症状を示した数頭の馬から、マレーバレー脳炎ウイルスだけでなく、ロスリバーウイルス、クンジンウイルスも分離されました。

フランス公衆衛生院によるコメント

マレーバレー脳炎ウイルスは、蚊、主にイエカ(Culex)によって伝播するフラビウイルスです(2008 EMV[PDF形式:115KB]仏語)。ウイルスは北オーストラリアで地域感染症として循環しています(西オーストラリア州およびノーザンテリトリーの北部)。最後の流行は1974年に報告され、オーストラリア本土全体で58例の人症例が発生しました。他の北部および中央部の州では、マレーバレー脳炎ウイルスの伝播は、特に11月から7月にかけての雨季に生じます。
1992年以来、マレーバレー脳炎ウイルスに対して、媒介昆虫およびウイルス検出用のニワトリを用いたサーベイランスシステムが運用されています。

マレーバレー脳炎ウイルスの散発症例が起きたこと自体は、予期せぬことではありません。しかし、この疾患は重篤であり、流行する可能性があり、また、最近の気象状態(豪雨と洪水)によって媒介昆虫の増殖に適した条件が整っていることなどから、状況を慎重にモニターする必要があります。