ドイツにおける溶血性尿毒症症候群について

  • 2011年5月24日にロベルト・コッホ研究所(RKI)は、ドイツ国内で溶血性尿毒症症候群(HUS)の症例数が急激に増加していることを報告しました(BHI No.296[PDF形式:55KB]BHI No. 297[PDF形式:254KB]をご参照ください)。6月7日に、同研究所は腸管出血性大腸菌感染症2325例、HUS642例および死亡22例について報告しました。
  • 症例は主にドイツ北部において報告されています。
  • ドイツからの輸入症例について、他の国から報告されています(確認がなされたもののみ)。

STEC-EHEC症例:デンマーク18、スウェーデン47、英国11、オランダ8、オーストリア2、スイス13、フランス10、ルクセンブルク1、ポーランド2、チェコ共和国1、スペイン2、フィンランド1、ノルウェー1

HUS症例:デンマーク7、スウェーデン15、英国3、オランダ4、ポーランド2、スペイン1

スウェーデンで死亡例が1例報告されています。

  • ドイツ国内の症例と疫学的リンクを有する症例がカナダ(1例)およびアメリカ(1例のSTEC)が報告され、さらに3例について現在調査中です。
  • 従来HUSは主に10歳未満の小児に発症するものでしたが、今回の症例について特徴的なことは多数の若い女性が含まれていることです。
  • これまでにおいて、ほとんど全ての症例はドイツへの渡航に関連した発症例です。但し、デンマークおよびポーランドで報告されたHUS3例については明確な疫学的リンクについて報告されていません(ポーランドで調査された1例については、患者の親の一人がドイツを旅行していました)。
  • HUSは志賀毒素を産生し、血性下痢症の原因となる腸管出血性大腸菌の感染時におこる重篤な合併症であり、死亡することがあります。
  • HUSは、腎不全、貧血および血小板減少症を呈し、さらに神経学的障害(痙攣と意識障害)を伴います。
  • 今回のアウトブレイクで同定された細菌は、血清型O104:H4(稀なもの)ベロ毒素2型産生性の腸管出血性大腸菌です。
  • ドイツでは毎年およそ1,000例のEHEC感染が起こっています。
  • 2010年にロベルト・コッホ研究所は18歳超の患者6名と死者2名を含む65例のHUSを報告しました。
  • 感染源はいまのところ特定されておらず、調査が続けられています。