EHECのアウトブレイクについて

WHO/Europe 2011年6月15日

証拠が提示され、新たな勧告が出されています。

6月10にロベルト・コッホ研究所、連邦リスクアセスメント研究所(BfR)および連邦消費者保護食品安全事務局(BVL)は共同で、これまでに明らかとなった疫学的調査結果および食品の移動経路の調査結果から豆および芽野菜(コロハ種子(fenugreek)、緑豆(mung beans)、レンズ豆(lentils)、アズキ(adzuki beans)およびアルファルファ(alfalfa)を含む)がドイツ国内における特殊な腸管凝集性ベロ毒素産生性大腸菌(EAggEC VTEC)O104:H4のアウトブレイクを媒介したことを発表しました。

  • ドイツ国内に在住する人は産地に関わらず生の豆および芽野菜を食べないよう同当局は勧告しました。新たな勧告がなされるまでは、各家庭、食品配達業者および外食産業は現在所有している全ての豆と芽野菜およびそれらに接触した可能性のある全ての食品を廃棄してください。
  • 上記に加え、BfRは、自宅で栽培した芽野菜および種子を生のまま食べないよう勧告しています。
  • ドイツ北部においてキュウリ、トマトおよび葉野菜サラダを食べないことを旨とする勧告は取り下げられました。
  • 同当局は、感染源とされた豆および芽野菜を生産したニーダーザクセン州の特定の農家の全ての農産物を市場から撤去することを勧告しました。
  • 食品の配達経路等を含む、多種の調査が継続しています。これまでの調査では、感染源とされた農場から豆および芽野菜がドイツ国外へ輸出されたという証拠は見つかっていません。
  • 同当局は、食品を取り扱うとき、便所を使用した後や医療従事者が患者に接触したときは、一般的な衛生手技を徹底することを勧告しています。

BfR、BVLおよびRKIは6月10日により詳細な情報を共同でプレスリリースし、プレスリリースの内容は6月12日および13日に更新されています。

溶血性尿毒症症候群(HUS)

6月14日15:00中央ヨーロッパ時現在、ドイツはHUS784症例(うち死亡23例)を報告しており、前日より2例の症例と1例の死亡例が増加しました。68%は女性であり、88%は20歳以上の成人で、人口100,000人あたりの最大の罹患率は、20歳~49歳の範囲に認められます。発症日は、5月1日から6月8日の間です。

腸管出血性大腸菌(EHEC)

6月14日15:00中央ヨーロッパ時現在、2,470例のEHEC感染(HUSを呈していないもの)をドイツは報告し(うち死亡13例)、前日より17例の症例が増加しました(死亡例の増加はありません)。59%が女性で、87%が20歳以上の成人です。発症日は、5月1日から6月11日の間です。

6月15日にロベルト・コッホ研究所は、過去およそ一週間において届出され、RKIに報告されたHUS/EHEC症例数が顕著に減少したことを発表しました。病院の救急外来で実施している血性下痢のセンチネルサーベイランスからのデータは同様に、5月30日以降の絶対的かつ相対的な患者数の減少を示しました。この減少が生野菜の消費量の変化に起因する、または(および)感染源が消滅しつつあることに起因するのかはまだ明らかではありません。

その他の国における状況

6月14日現在、欧州内では13カ国が合計36例のHUS(死亡1例)と66例のEHEC(死亡例なし)を報告しています。さらに、アトランタのアメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、このアウトブレイクに疫学的リンクを有する米国内のHUS3症例(確認済み1例と疑い症例2例)とEHEC(HUSを呈していないもの)の疑い症例2例についてすでに公式発表しています。6月7日に、カナダ公衆衛生局は、ドイツ北部への渡航歴があり、ドイツ国内で確認されたO104大腸菌感染症に疫学的リンクを有する、1例のO104大腸菌感染症(HUSを呈していないもの)の疑い症例を報告しました。

6月10日以降ドイツ国外で報告されたHUS、EHECおよび死亡者の数は増加していません。

感染者が存在する全ての国の患者数を以下の表に示します。

図.感染者が存在する全ての国の患者数

5例を除けば、全てのHUSとEHEC症例は、病原体への暴露後通常3-4日間(2-10日の範囲)の潜伏期間においてドイツに渡航したか住んでいた人のものです。さらに、除外されたこれら5例の全ては、ドイツでのアウトブレイクに疫学的リンクを有しています。

補足

EHECとHUSの届出上の分類は排他的なもので、数字が重複してはならないものです。急激なアウトブレイクの際の数字は暫定的なものであるため、種々の事情により変更されることがあります。

上記の情報を提示するにあたって、WHOは加盟国とテクニカルパートナー(欧州委員会、欧州疾病対策センターや複数のWHOの協力機関)の情報提供に対して謝意を表します。