EHECのアウトブレイクについて(フランスにおける新たなアウトブレイク)

WHO/Europe 2011年6月27日

2011年第23週以降、報告された溶血性尿毒症症候群(HUS)と腸管出血性大腸菌(EHEC)の症例数は以前と比較して顕著に減少しました。ドイツでは、症例報告のピークが5月22日に記録されて以来、着実に日々の症例報告の数が減少してきました。しかし、ドイツにおける累積症例数は増加し続けており、これは主として届出の遅延を原因としています。

ドイツ保健衛生当局の調査により、腸管凝集性ベロ毒素産生性大腸菌(EAggEC VTEC)O104:H4のアウトブレイクを媒介したのは豆および芽野菜であることが明らかになり、ロベルト・コッホ研究所はドイツ国内にいる人に対して生の豆および芽野菜を産地にかかわらず食べないよう警告しました。

6月24日に、フランス政府は成人8人(女性6、男性2)のベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)/HUS症例からなるアウトブレイクについて報告しました。O104:H4大腸菌が3症例で確認されました。各種の調査が進行中ですが、初期の知見に基づき、地元で生産された芽野菜が原因と見られています。ドイツとフランスの芽野菜の種で共通の供給源がないか確認することを目的に徹底的なトレースバック調査が実施されています。他の物が媒介した可能性についても調査が進められています。

6月24日15:00中央ヨーロッパ時現在におけるHUSとEHEC感染者の数および死亡者の数を次に示します。6月24にフランスでアウトブレイクした8症例については、本件とは分離したアウトブレイクとして考えられているため、下表には含まれていません。

図.HUSとEHEC感染者の数および死亡者の数

HUSによる下痢が最後に発症した日は6月22日で、EHECによる下痢が最後に発症した日は6月20日です。5例を除けば、上記の全てのHUSとEHEC症例は、病原体への暴露後通常3-4日間(2-10日の範囲)の潜伏期間においてドイツに渡航したか住んでいた人のものです。さらに、除外されたこれら5例の全ては、ドイツでのアウトブレイクに疫学的リンクを有しています。

補足

EHECとHUSの届出上の分類は排他的なもので、数字が重複してはならないものです。急激なアウトブレイクの際の数字は暫定的なものであるため、種々の事情により変更されることがあります。

上記の情報を提示するにあたって、WHOは加盟国とテクニカルパートナー(欧州委員会、欧州疾病対策センターや複数のWHOの協力機関)の情報提供に対して謝意を表します。