ジロンド県における腸管出血性大腸菌感染症のクラスター症例について

フランス公衆衛生院 2011年7月8日

6月22日にボルドーの2つの病院が6例の血性下痢症を報告と2例の溶血性尿毒症症候群(HUS)を報告しました。クラスターの感染源を明らかにするために疫学的調査がただちに実施されました。

6月22日から7月8日のあいだに9例のHUS、9例の血性下痢症と1例の下痢症(通常のもの)が報告されました。

これら19症例のうち、12人が、7月8日にボルドーのBèglesで開催された児童レジャーセンター(CLPE)の食事会に参加していました。これら12人のうち7人が女性で5人が男性であり、年齢は6歳から64歳です。全ての人が、このイベントで芽野菜の種を食べており、病気の症状が現れたのは2011年6月13日から20日の間でした。これらの12人のうち、HUSを発症している7人、血性下痢を発症1人および通常の下痢を発症している1人でEHEC O104:H4が確認されました。

CLPEでのイベントに疫学的リンクがない5人の中で、本日、微生物学的検査結果がでた3人(1例のHUSと2例の下痢)は、O104:H4系統のSTECに感染していないことがわかり、除外されました。この除外された3人のうち1人は、O104:H4系統に感染していませんでしたがHUSを発症し、7月2日に死亡しました。第4の症例については、微生物学的結果がでていませんが、この人は潜伏期間中に別の県に滞在していたことから、このアウトブレイクに疫学的リンクを有していないと考えられます。第5の症例については現在調査中です。

さらに、STEC O104:H4がヒト-ヒト感染したことが確認された2症例については、周囲にCLPEのイベントへの直接的な疫学的リンクのある人が報告されています。

合計12人がこれまでにCLPEに直接的なリンクを有する事が確認されており、CLPEにリンクしない1例の血性下痢が現在調査中であり、2例についてSTEC O104:H4のヒト-ヒト感染であることが確認されたことが報告されました。

大腸菌および赤痢菌に関する国立リファレンスセンター(パスツール研究所、パリ)と協力研究機関(ロベール・ドゥブル病院微生物研究室)は、フランスで分離されたO104:H4大腸菌と、ドイツで2011年5月から6月にかけて芽野菜の摂取によって発生したEHECのアウトブレイクにリンクする患者から分離された菌株と分子生物学的なタイピングを比較しました。この比較の結果、フランスの患者から分離された菌株とドイツの患者から分離された菌株は分子生物学的タイピングにより区別することができないことが示されました。このことから、これらの2つの出来事は、共通の感染源に関連していることが示唆されました。

CLPEの食事会に参加した全ての人を対象としたコホート研究がこの出来事に関して疫学的かつ臨床医学的な記録を行うために6月29日に開始されました。

農業省食品総局(DGAL)は、食事会で摂取された種子(マスタード、フェヌグリークまたはルッコラ)の生産元を調べるためのトラッキング調査を行いました。さらに、芽野菜の種を試料として微生物学的検査を実施しました。

フランス国内での感染防御策

疫学的調査の結果を受け、フランス競争消費違反取締総局(DGCCRF)と、フランス保健総局(DGS)は、大腸菌感染を防ぐためにこれらの芽野菜を生のまま食べないように勧告しました。O104:H4大腸菌を殺菌できるのは高温で調理を行うことのみです。さらに、DGSとDGCCRFは芽野菜の発芽に使用した用具と芽野菜の調理に用いた用具を使用後に洗浄し、芽野菜を取り扱ったあとには必ず手を洗うことを勧告しています。

ヒト-ヒト感染(二次感染)を防ぐために、特に家族内において、衛生手技の強化に関する勧告がDGSによって発表されました(http://www.sante.gouv.fr/note-d-information-prevention-de-la-transmission-secondaire-d-infections-par-escherichia-coli-e-coli.html)。

欧州全体の状況

ボルドーにおけるEHEC感染のクラスター症例に関するリスクアセスメントがEFSAおよびECDCのウェブサイトに掲載されました。

http://www.ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/2011June29_RA_JOINT_EFSA_STEC_France.pdf[PDF形式:589KB]

欧州食品安全機関(EFSA)は、7月5日に、ドイツおよびフランスで発生したアウトブレイクを引き起こした種子の生産地に関するトレースバック調査の第一回目の報告をプレスリリースしました。この調査の結果、エジプト産のフェヌグリークの一つのロットがこれら2つの出来事に共通する感染源である可能性が非常に高いことがわかりましたが、この調査結果によって、フェヌグリークの他のロットが感染源である可能性もまだ除外されたわけではありません。(http://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/176e.html)。

この結果に基づき、欧州連合は、特定のエジプトの輸出者から輸入された2009年産および2011年産のすべてのロットのフェヌグリークを市場から撤去するよう加盟国に勧告し、エジプト産の発芽用の種子および豆を10月31日まで輸入を行わないよう勧告しました(http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/11/831&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=it)。

このアウトブレイクは、6月に北部で発生したO157大腸菌のクラスター症例との関連性はなく、このO157のアウトブレイクは、Lidl社のSteaks Countryブランドのハンバーガの特定のロットにリンクしたものです。