モルディブにおけるデング熱について

ECDC 2011年07月22日

今年の初めより、モルディブで有意にデング熱症例数が増加しているという報告があります。モルディブのWHO国事務所は、200の有人の島のうち44の島から1,604症例の報告を行いました。一方、最近のメディア報道では約1,900症例と9例の死亡例をあげています。

7月1日の国際赤十字社連盟と赤新月社からの発表によると、首都マレとフルフマレ島(Hulhumalé)が最も感染による影響を受けていると指摘されています。すべての症例の28%は5歳未満の子供で、全症例の19%は重症デング熱と考えられています。

雨季が継続していることから、7月と8月をピークにさらに患者が増加すると予想されています。

2010年は2例の死亡を含む920のデング熱の症例がモルディブより報告されました。一方、最も最近の深刻なデング熱流行は2006年に起きており、年間2,768症例が報告され、10例が死亡しました。

モルディブはヨーロッパの旅行者にとって重要な渡航先であり、2009年に395,395名がEU諸国から到着しており、2009年にモルディブに入国したすべての観光客の60%を占めています。また、これらのEUの観光客の3分の1以上がイタリアとフランスから来ており、両国ともにデング熱伝播の可能性のある媒介蚊であるヒトスジシマカが常在性となっています。2010年にはおそらくウイルス血症をきたした帰国者を介してウイルスが持ち込まれたと考えられる、2つのデング熱土着症例がフランスで報告されました。

これらの理由から、ECDCはモルディブでの継続的な流行に関する一般大衆の意識啓発や島々を訪れる人へ適切な予防措置を講じることの重要性を強調します。デング熱の予防は個人個人の蚊に刺されないための防御(長袖の着用、靴下の中にズボンを入れる、虫除け剤の塗布など)に基づきます。モルディブからの旅行者が、帰国後2週間以内に以下の症状を起こした場合は、医師の診察を受け、最近旅行したことを伝えてください。

デング熱は、住居周辺で日中活動するシマカによって媒介される感染症です。すべてのデング熱の40~80%は無症状です。一般的に報告される臨床症状は、1~12日(平均3~7日)の潜伏期間後、突然の高熱、激しい頭痛や眼窩痛(目の奥の痛み)、筋肉痛、関節痛、丘疹性発疹(皮膚上の小さい赤い斑点)、軽度の出血などがあります。症例のうち一部(通常は5%未満)に重症例があり、その一部で致命的なことがあります。最も重症な例や死亡例は小児や若者で起こります。

より詳細な情報はこちら(英語)Dengue fever health topic site

参考