コウモリと人の健康

オーストラリア クイーンズランド州政府2011年07月29日

説明

人が動物から感染してしまう感染症は、人獣共通感染症として知られています。多くの動物は、野生か飼われているかを問わず、人獣共通感染症を拡散する能力があるので、簡単な予防策として動物をさわった後は手を洗い、果物は食べる前に洗うことをお勧めします。動物のかじった跡があるフルーツは食べないで下さい。コウモリが持つオーストラリアリッサウイルスに感染する潜在的なリスクがあるため、狂犬病の予防接種を受けているか、コウモリを扱う訓練を受けていない限り、コウモリ(オオコウモリ(flying foxes)を含む)にはさわらないようにしてください。

全般的に、コウモリに触らない、また物理的にコウモリに接触しないという条件下ならば、コウモリ由来の人獣共通感染症に感染するリスクを最も少なくできます。

どんな病気をコウモリは運び、人にとってどのようなリスクがありますか?

オーストラリアコウモリのリッサウイルス(ABL)は、感染したコウモリが人を咬んだりひっかいたりした時に、その唾液を経由して伝染するウイルスです。ABL感染症は人間に狂犬病に似た症状を起こし、発症者のほとんどが死亡すると考えられます。しかし、ABL感染症例はこれまで2例しか報告されておらず、ともにクイーンズランドで生じ、最後に起きたのは1998年です。

ABL感染症を防ぐための簡単な手段が2つあります。

  • コウモリを取り扱う訓練を受けているか、狂犬病の予防接種を受けていない限りコウモリにさわらない。
  • もしコウモリに咬まれたり引っかかれた場合、傷口を徹底的に洗い、感染しないようにすぐに暴露後接種すべきか医療的なアドバイスを受ける。

病気やケガをしたコウモリがいたら、動物の取り扱いについて訓練を受けている専門家に報告して下さい。(下記「その他」をご覧下さい)

レプトスピラ症は感染した動物の尿を経由して伝染する細菌性疾患です。ごく稀にですが、レプトスピラ症で人が死亡することもあります。げっ歯類や牛がこの感染症の主な保菌者ですが、コウモリが感染していることもあります。

レプトスピラ症にもっとも感染しやすいのは、農業従事者、獣医、食肉業者といった、この細菌に仕事中に暴露されやすい人です。コウモリからの感染予防に最も効果的なのは傷のある皮膚や粘膜(目、鼻、口など)をコウモリの尿に触れさせないことです。

サルモネラ菌および胃腸炎を起こすその他の細菌が動物の便から見つかることがあります。クイーンズランド州内の多くのサルモネラ菌感染症例は、生焼けまたは生の食事がサルモネラ菌に汚染されていたことから生じています。この感染症は、イヌや家禽、牛などの動物と濃厚接触することで感染することもあります。オオコウモリの一部が、この菌についても保菌している可能性があると推定されています。

ヒストプラスマ症はとても珍しい肺感染症です。コウモリ、イヌ、ネコ、牛、ウマ、ネズミその他の動物が感染し、またこれらの生き物の排泄物中に含まれていることがあります。

オーストラリアでは、業務とレクリエーションとを問わず、主としてコウモリやコウモリのいる洞窟に接触をもつ人に、感染するリスクがあります。予防するには、コウモリのいる洞窟のようなコウモリの排泄物に汚染された環境で、ほこりに暴露されないようにするに限ります。汚染の可能性がある区域が清掃されていない場合には、ほこりを減らすために水をまくことが勧められます。汚染されている区域(コウモリのいる洞窟など)で働く人は、フェイスマスク、手袋、全身を覆う作業衣のような防具を付けるのをお勧めします。

ヘンドラウイルスは、感染したウマの体液と濃厚接触することによって人に感染します。自然界でのヘンドラウイルスの宿主はオオコウモリです。ウマは、感染しているオオコウモリの体液で汚染されて間もない飼料から感染することがあります。

このウイルスが、オオコウモリから人に直接感染するという証拠は現在ありません。オオコウモリと頻繁に接触していた、コウモリ飼育者に対して行った試験では、ウイルスに暴露を受けていたことは証明できませんでした。

1994年以降これまで、ヘンドラウイルスのヒト感染症例が7例確認されています。そのうち4名が死亡しました。これまで、ヘンドラウイルスのウマ感染のアウトブレイクが25回確認されていて、うち21回がクイーンズランド州、4回がニューサウスウェールズ州で発生しています。ほとんどのアウトブレイクでは、感染したウマは一頭または二頭のみでした。

ウマのヘンドラウイルス感染のリスクは、飼料のコウモリの体液や排泄物からの汚染防止、病気のウマの早期隔離、通常通りの衛生への配慮、清掃処置で減らすことができます。

その他

怪我をしたコウモリを発見した人は、以下の連絡先か地元の野生動物の保護グループ/レスキュー/飼育者に連絡して助言を求めてください。

Department of Environment and Resource Management(クイーンズランド州環境保護庁)(1300 130 372)

RSPCA(王立動物虐待防止協会)(1300 ANIMAL)

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クイーンズランド州健康ファクトシート