麻疹流行状況:アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ地域

2011年10月7日 WHO(GAR)(原文[英語]へのリンク)

2011年、加盟国であるヨーロッパとアフリカ地域の数カ国で麻疹の大流行が報告され、ヨーロッパやアフリカにリンクしてアメリカでいくつかの報告がありました。

ヨーロッパ

9月20日の時点では、WHOヨーロッパ地域の53の加盟国のうち40ヶ国が1月から7月までの期間に26,025人の麻疹確定患者を定期のサーベイランス流行報告としてヨーロッパ事務局へ報告しました。最も多い症例報告は今年上半期のフランスからで14,025人でした。さらに患者のうち11人が死亡(6人がフランス、ドイツ、キルギス、ルーマニア、マケドニア旧ユーゴスラビア、イギリスでそれぞれ1人)しました。ヨーロッパ地域で循環している主な遺伝子型はD4で、2008年イギリスで流行した型と同じです。最近の発生はイスラエルで9月に報告された12人です。加盟国は流行にあたり、フランスのようにワクチンスケジュールを変更したり、無料でワクチンを提供したり、学校での接種を行ったりして、利便性や稼働率を改善しています。

アフリカ


地域事務局は9月時点で大流行を報告しており、コンゴ民主共和国で103,000人、ナイジェリアで17,428人、ザンビアで5,397人、エチオピアで2,902人が報告されています。地域事務局に死亡者の定期の報告はありませんが、コンゴ民主共和国内のWHO事務所は2011年に1,100人以上の麻疹関連死亡者の発表をしています。

アメリカ


現地発生の最終報告は2002年でした。2011年にはアメリカ地域事務局は他地域からの麻疹ウイルス輸入にリンクするいくつかの発生報告を受けています。最大の流行発生はカナダ、ケベック州の742人です。そのうち89人が入院しましたが、死亡者はいませんでした。ほかにもアメリカ合衆国(213人)、エクアドル(41人)、ブラジル(18人)、コロンビア(7人)、メキシコ(3人)、チリ(6人)から報告されています。これらの発生のほとんどがヨーロッパからの輸入にリンクするものでしたが、アメリカ合衆国とチリでの発生はそれぞれマレーシアとエクアドルからの輸入例ですが、それはケニアにリンクするものでした。

麻疹は大変感染しやすい疾患で、元来健康な人でも合併症を起こし死亡することがありますが、ワクチンで完全に予防できる疾患です。各国は15歳までの全年齢層で2回接種の接種率95%を達成することが必要です。そうでなければ、多数の患者や入院患者、死亡者が発生します。多数の渡航者のいる国での最近の患者発生は、アメリカ地域やいくつかのアフリカの国のような一度麻疹清浄国となった地域に麻疹を輸出することになります。このような麻疹輸出は大規模な流行や死亡者をだすことにつながる可能性があります。

海外渡航する旅行者は旅行前に麻疹を含んだワクチン接種を2回済ませておくべきです。

出典

Measles outbreaksRegions of Americas,Europe and Africa
Global Alert and ResponseWorld Health Organization
http://www.who.int/csr/don/2011_10_07/en/index.html