H5N1ウイルスの飛沫感染拡大に複雑な過程を要したフェレットでの研究結果

2011年11月7日 CIDRAP(ミネソタ大学感染症研究センター)原文〔英語〕へのリンク

一連の複雑な変異により、H5N1鳥インフルエンザウイルスは、飛沫感染でフェレット間で感染しうると、米国の研究者がウイルス学誌Virologyに報告しました。
研究では、ヒトでの効率的な感染のためにはH5N1に特異的なα-2–3特異性に代わるα-2-6sialoside受容体特異性の獲得が必須であるという前提条件で研究を続けたところ、α-2-6結合がやや増加し、α-2-3結合が最小限に減少した変異ウイルスを4種類特定しました。
そして、突然変異したこれらの亜種のひとつ(Q196R)と、α-2-6結合(レセプター)と結合する以前のパンデミックウイルス(Q226LとG228S)とを組み合わせて変異ウイルスを作成しました。この新しいウイルスがヒトのインフルエンザ感染の良いモデルとして見られているフェレットの間で伝搬を起こしました。しかしながら感染拡大は、空気中の飛沫感染ではなく、直接接触により起こりました。チームはその後、変異ヘマグルチニン、ヒトN2ノイラミニダーゼ、およびH5N1型ウイルスの内部遺伝子を含む再集合体ウイルスを作成し、"部分的に呼吸器飛沫を介して感染する" ことを観察しました。
研究者は"フェレット間で飛沫感染するために複雑な変異が必須であることは、ヒトにおいてH5N1ウイルスが感染するには広範囲にわたる変異が必要とされることを示唆している" と結論づけました。

出典

CIDRAP(ミネソタ大学感染症研究センター)
FLU NEWS SCAN: H5N1in Cambodia,mutant H5N1study in ferrets,flu in sealshttp://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/avianflu/news/nov0711flluscan.html