世界におけるインフルエンザ流行状況(7)

2011年12月2日 WHO (原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 北半球の温帯地域の国々ではインフルエンザの活動性は低いですが、カナダとヨーロッパの数カ国でインフルエンザA(H3N2)の散発的な発生が報告されました。
  • 熱帯地域の数カ国、アメリカ地域のニカラグア、コスタリカ、ブラジル、中央アフリカのカメルーン、東南アジアのカンボジア、ラオスで活発なインフルエンザ活動性が報告されています。
  • 南半球温帯地域での伝搬はシーズンオフレベルに戻りましたが、オーストラリアのいくつかの地域でA(H3N2)が続いています。
  • 米国で新型インフルエンザA(H3N2)ウイルスの限局的なヒト-ヒト感染が認められましたが、今日までに新たに拡大したという報告はありません。参考文献を参照して下さい。

北半球の温帯地域

この地域の国々ではまだインフルエンザシーズンは始まっていませんが、カナダのいくつかの地域での散発的活動が報告されています。この地域の多くの国々でこの数週間インフルエンザ活動性は低いか認められていません。ヨーロッパでのインフルエンザの活動性は全体的には低いままです;チェコ、フランス、アイルランド、ノルウェー、ロシア、スペイン、スウェーデンで散発的なインフルエンザ活動が報告されています。

熱帯地域

アメリカ熱帯地域;インフルエンザA(H3N2)活動性が増加しているコスタリカを除き全般的に低レベルでの伝播が報告されています。ニカラグアでは9月下旬から増加していたA(H1N1)pdm09が第42週にピークに達した後連続して3週間減少してきています。同国でのA(H3N2)の報告もごくわずかに認められています。エルサルバドルとホンジュラスでのA(H3N2)伝播は9月にピークに達したあと低レベルで持続しています。ブラジルの熱帯地域セアラ州ペドラブランカでインフルエンザA(H1N1)pdm09の発生が報告されています。

サハラ以南アフリカ;カメルーン以外の国では伝播は低レベルのままです。カメルーンではB型の伝播が6月に始まり9月上旬にピークに達しそれ以降減少しています。B型の6週間後にA(H1N1)pdm09の伝播が始まり11月上旬ピークに達し、同時にA(H3N2)の検出が増加しています。シエラレオネでは低レベルでのインフルエンザA(H3N2)の伝播、セネガルでは11月上旬にB型の伝播がピークに達した後低レベルでの伝播が報告されています。

アジアの熱帯地域;伝播は限られた地域で活発です。カンボジアではA(H1N1)pdm09とB型が混合した高い伝播、ラオスではA(H1N1)pdm09の伝播が10月下旬から高レベルで報告されていますが減少し始めているようです。ベトナムでは主にA(H1N1)pdm09の伝播報告が年間を通して続いていますが、現在減少し始めているようです。南アジアの他の国ではわずかにA(H3N2)とB型が報告されています。

南半球の温帯地域

南米;インフルエンザの活動性はシーズンオフレベルまで減少しインフルエンザシーズンは大部分の地域で終了したようです。全ての国で伝播報告はないか低レベルです。

南アフリカ;南アフリカでは6月のA(H1N1)pdm09のピークに続いて、8月下旬から10月下旬にB型とA(H3N2)ウイルス伝播が2回目のピークに達しました。全てのインフルエンザウイルスの伝播はその後低レベルまで減少しています。

オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋;オーストラリア、ニュージーランドではインフルエンザ活動性は現在シーズンオフのレベルです。オーストラリアでは昨年みられたように、シーズンオフの低レベル活動期にB型やA型亜型不明やA(H3N2)がわずかに確認されています。

出典

WHO:Influenza update02December2011Update number148
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/index.html