インドは1年間ポリオの発生がありませんでした。

2011年1月13日 WHO(原文[英語]へのリンク

インドでの1年間のポリオフリーは大きな成果です。この国はかつて世界のポリオ発生中心地でした。
2012年1月12日インドは、野生型ポリオウイルスの伝播を中断させ、最後の症例(2011年1月13日ウェストベンガル州の2歳の女児)発生から1年経過しました。

インドはかつて世界のポリオ発生中心地として知られていました。現在検査室で検査中の検体が陰性なら、今後数週間以内にインドは公式にポリオウイルス野生株の地域伝播を食い止めたことになります。ポリオウイルス野生株の国内伝播をまだ食い止めていないポリオ流行国数は、歴史的にわずか3ヶ国、アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンになります。

しかしながら、満足している余裕はありません。インドは感受性の高いサーベイランスを継続し、野生型ポリオウイルスに対する小児の高い免疫を維持し世界的にポリオが根絶されるまで、いかなる輸入ポリオにも対抗しなければなりません。2011年、アフガニスタンとパキスタン両国はポリオ症例の増加があり、パキスタンからポリオウイルスが中国(1999年からポリオフリーでした)へ再感染しました。アフリカでは活発なポリオ伝播がチャド、コンゴ民主共和国、ナイジェリアで続いており、西アフリカ、中央アフリカで過去12ヶ月の間に発生があったことは、ポリオが世界のどこかにある限りはどこにとっても脅威があることを思い出させることになっています。

今日の世界的な保健指導者たちはインド政府へ協力してポリオ根絶の取り組みのため、また10年以上にわたりポリオ根絶を支援し続けた何百万人もの予防接種者、コミュニティー動員係、ロータリークラブ会員、保護者や医療従事者へリーダーシップと財務義務を提供してきました。インドでの根絶のための取り組みは驚くべきものです:2つの国内ワクチンキャンペーンで5歳以下の小児1億7000万人へ接種を行い、追加接種キャンペーンでハイリスク地域の7000万人の小児へ複数回接種を行いました。全ての取り組みで毎年10億回分の経口ワクチンが必要です。

何十万人もの小児が救済されます。

インドのポリオ根絶達成は生涯にわたる麻痺や死亡から、毎年何十万人もの小児を救済することになります。ポリオウイルスは簡単にポリオフリー(清浄)地域へ伝播します。インドでのポリオ遮断は、近年アンゴラ、バングラディシュ、ネパール、ロシア、タジキスタンなどで見られたインド由来のウイルスによるポリオ再発生を防ぐでしょう。

ポリオ根絶の機会

「インドでの成功はおそらく最も大きな公衆衛生上の達成で、世界的なポリオ根絶に向けての可能性を提供しました。世界ポリオ撲滅イニシアチブは緊急体制をとっており、これを契機に、この身体機能を損なう疾患を終わりにすることに焦点を当てています。インドでのポリオ遮断には創造性、忍耐、専門的技術が必要でした。ポリオ根絶における多くの改革がインドの取り組みによって引き出されました。インドでの教訓が、世界のポリオ終息への緊急対応へ適応され実行されなければなりません。」とマーガレット・チャンWHO事務局長は述べました。

アンソニー・レイクユニセフ事務局長によりますと、インドのポリオ取り組みの特筆すべき進展の鍵は、インド政府・州政府の強力なリーダーシップにより包括的なポリオ撲滅プログラムを展開し、ウッタールプラディシュ州やビハール州などの、貧困率や人口密度が高く衛生状態やインフラ整備の悪い、ポリオなどの疾患が蔓延しやすい地域でワクチン接種率を高率に維持し続けたことです。

ポリオは困難な環境下で根絶することができます。

「インドでの成功は最も困難な環境下でもポリオを根絶できるというポジティブな証明になります。実際、このような地域をターゲットにすることのみでこの疾患に打ち勝つことができるのです。この確実に予防できる疾患から一人残らず、特に小児を防御することができるのです。それなので、世界的なポリオ撲滅の仕事はきっぱりと終わらせなければなりません。」とレイク氏は述べました。

国際ロータリークラブは世界ポリオ撲滅運動を1985年に開始し、Kalyan Banerjee会長は、「多くの専門家が、インドでの蔓延をみて、インドが根絶を達成する世界で最後の国となるだろうと予想していた。」と述べました。また、「インドは疑いもなくポリオ根絶取り組み最大のドミノ効果だ。インドでの成功は、インド政府、インドロータリークラブ、また地域のリーダーと共にワクチン接種に取り組み、ポリオワクチンを全ての子供たちに届けた世界中の関係者の大きな功績である。」とも述べています。

インドはポリオから子供たちを引き続き守っていかなければなりません。

「定着しているポリオ野生株ウイルスの伝播を食い止めた全ての国々と同様に、インドは、引き続き追加接種対策と定期予防接種率の改善を通して、また恐ろしい再輸入の可能性のリスクからも子供たちを守っていかなければなりません。」とアメリカCDCのThormas Frieden医師は述べています。さらに、「ポリオの歴史は多くの警告を含んでいます。世界のどこのポリオも世界中のどこにとっても脅威であり、インドは後退しないためにも、細心のモニタリングと、小児期の重点的なポリオワクチン接種を継続しなければなりません。」と付け加えています。

ポリオに苦しむ小児を確実になくす。

「各国は、政治的意志、質の高いワクチンキャンペーン、完全な政府決定といった適切な要素の結びつきでポリオを遮断することができます。世界の指導者は世界的キャンペーンを運営するのに必要な基金を確保し続け、どの子供達もこの身体機能を損なう疾患で再び苦しむことがないよう援助し続けなければなりません。」とBill&Melinda Gates基金の共同会長のBill Gates氏は述べました。

インドでの達成により、現在世界ポリオ撲滅への取り組みはチャド、ナイジェリア、パキスタンでの緊急対策計画の取り組み改善へ焦点を合わせています。成功は、全てのレベルの政権と国際パートナーでの所有権と責務にかかっています。

編集ノート

インドはポリオ根絶の最大の寄付団体の一つで、概ね自己資金で賄っています。2013年までに、インドは20億米ドルを出資する予定です。
全ての検査中の検体(急性麻痺の子供からの便検体や下水検体)の検査が終わり、野生型ポリオウイルスが検出されなければ、今後、インドはポリオ常在国とは見なされません。検査システムは、全ての検体を採取してから4-6週間以内に判明させると予想されます。
世界ポリオ撲滅イニシアチブ(GPEI)は、各国政府、WHO、国際ロータリークラブ、アメリカCDC、ユニセフの先頭に立っています。

出典

WHO Media centreIndia records one year without polio caseshttp://www.who.int/mediacentre/news/releases/2012/polio_20120113/en/index.html