米国で発見された変異型のインフルエンザウイルスについて(更新8)

2012年9月7日 CDC

2011年8月以降、米国では変異型のインフルエンザA型ウイルスに感染した人が確認されており、主に、H3N2の変異型ウイルス(H3N2v)に感染していました。H3N2vは、インフルエンザA(H1N1)09pdm由来のM遺伝子を持っており、この遺伝子があることで、他の変異型のインフルエンザに比べて、人に感染しやすくなっているかもしれません。このウイルスは、多くの州の豚からも検出されています。

2012年9月7日に公表されたCDCの情報によりますと、今年の7月以降に報告された感染者数は10州で合計296人になりました。これまでに、入院した感染者は16人、死亡者は1人と報告されています。

新たに、オハイオ州(1人)、ペンシルバニア州(4人)、ウィスコンシン州(3人)から感染者が報告されました。

現時点では、人-人感染は限られており、持続的な人-人感染は確認されていません。

<2011年8月以降に報告されたH3N2vの感染者数(州別)>

2011年の感染者数2012年の感染者数
ハワイ1
イリノイ4
インディアナ2138
アイオワ3
メイン2
メリーランド12
ミシガン5
ミネソタ2
オハイオ102
ペンシルバニア311
ユタ1*
ウエストバージニア23
ウィスコンシン18
合計12297

*ユタ州の感染者は2012年4月に発生しており、最近の感染者ではありません。

なお、ミネソタ州では、インフルエンザA(H1N1)09pdm由来のM遺伝子を持っているH1N2の変異型ウイルス(H1N2v)に感染した人が3人報告されました。H1N2vは、H3N2vとは異なるウイルスです。H1N2vは、通常、人ではなく、豚の間で伝播しています。しかし、稀ですが、過去にもこのウイルスに感染した人が確認されています。感染した人は、ミネソタ州のフェアで豚との接触がありました。3人のうち2人には重篤なインフルエンザの合併症を起こすリスクが高い基礎疾患があり、その2人のうち1人は入院しましたが、3人とも回復しました。

季節性インフルエンザの予防と同様に、いつも、手洗いや咳エチケットなどの衛生習慣を実行することが重要です。小児、妊婦、65歳以上の高齢者、免疫抑制状態にある人は、動物が周囲にいる時には、特に注意が必要です。豚との濃厚接触がある人は、豚と人との間にインフルエンザが伝播するリスクを減らすために手指衛生や咳エチケットなどの感染予防対策が勧められます。可能であれば、病気のようにみえる動物や病気の動物との濃厚接触を避けるべきです。また、インフルエンザのような症状が出た人は、豚との接触を避けるべきです。

出典

CDCCase Count:Detected U.S.Human Infections with H3N2v by State since August2011
http://www.cdc.gov/flu/swineflu/h3n2v-case-count.htm

CDC H1N2Variant Virus Detected in Minnesota
http://www.cdc.gov/flu/spotlights/h1n2v-cases-mn.htm

参考

FORTH 最新ニュース

米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて(更新7)https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/09031314.html