世界におけるインフルエンザ流行状況 (更新14)

2013年7月19日 WHO (原文〔英語〕へのリンク

要約

  • 北半球の温帯地域におけるインフルエンザの活動性は依然としてシーズンオフの水準でした。米国では、インフルエンザA(H3N2)vに感染した患者が12人報告されました。詳細は米国疾病予防管理センター(CDC)のホームページを参照してください。
    http://www.cdc.gov/flu/swineflu/h3n2v-cases.htm
  • アジアの熱帯地域のほとんどではインフルエンザの活動性は低下しましたが、インドとベトナムでは、依然としてインフルエンザA型の活動性が比較的高い水準でした。
  • 中米とカリブ海諸国では、キューバとドミニカ共和国におけるインフルエンザの活動性が依然として高い水準ですが、減少傾向にあります。コスタリカ、エルサルバドル、ニカラグアでは活動性が増加し始めました。
  • 南半球のインフルエンザ活動性は、南米と南アフリカでかなり増加しましたが、オセアニアでは依然として低い水準でした。南米の温帯地域では、依然としてRSウイルスが優勢ですが、インフルエンザウイルスが陽性になる割合が増加し続けました。南米の熱帯地域のほとんどの国において、呼吸器疾患を起こすウイルスは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されるようになりましたが、エクアドルでは依然としてRSウイルスが主に検出されました。
  • 7月19日時点で、中国でH7N9に感染した患者は133人と報告されました。詳細はWHOのウェブサイトを参照して下さい。
    http://who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/en/index.html

北半球の温帯地域

北米

北米におけるインフルエンザの活動性は、ほとんどの地域で、依然として低い水準でした。

カナダでは、インフルエンザの活動性は減少し続けました。国のインフルエンザ様疾患(ILI)の受診率は過去10週間にわたって変動がありませんが、過去7週間、予想される範囲を上回りましたが、ほとんどはライノウイルスによるものと考えられています。米国では、インフルエンザの活動性は依然として低く、シーズンオフの水準でした。米国では、インフルエンザA(H3N2)vに感染した患者が12人報告されました。詳細は米国疾病予防管理センター(CDC)のホームページを参照してください。

http://www.cdc.gov/flu/swineflu/h3n2v-cases.htm

メキシコでは、過去数週間にわたってインフルエンザの活動性は低く、一定していると報告されました。6月第2週から7月第1週にインフルエンザが陽性であった検体は13.9%で、大部分がインフルエンザA型でした。急性呼吸器感染症(ARI)の患者と肺炎の患者は前週から減少し続けました。

ヨーロッパ

ヨーロッパにおけるインフルエンザの活動性は依然としてシーズンオフの水準でした。ILIとARIの受診率は、ヨーロッパのすべての国で低い水準でした。定点機関で採取された検体でインフルエンザが陽性となった検体はなく、この地域のインフルエンザの活動性が低いことが示されました。

アフリカ北部と西アジア

アフリカ北部と西アジアにおけるインフルエンザの活動性は低い水準です。西アジアのほとんどの地域では、シーズン中、インフルエンザA(H1N1)pdm09が主に検出されました。しかし、ヨルダンでは、大部分がインフルエンザB型であったと報告されました。

北アジア

アジアの温帯地域では、ほとんどの地域でインフルエンザの活動性が過去数週間以上にわたって徐々に減少し、シーズンオフの水準に達しつつあります。

7月19日現在、インフルエンザA(H7N9)の患者が133人報告されており、そのうち43人が死亡しました。詳細な情報と更新情報は、WHOのウェブサイトを参照して下さい。

http://who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/en/index.html

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域(中米、カリブ海諸国)

カリブ海諸国と中米におけるインフルエンザの活動性は、コスタリカ、エルサルバドル、ニカラグアで増加しました。キューバとドミニカ共和国の活動性は減少しましたが、依然として高い水準でした。この地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)がともに報告されました。

キューバにおけるインフルエンザの活動性は依然として高い水準でしたが、6月中旬以降、減少し始めました。検査された628検体のうち33.3%がインフルエンザウイルス陽性でした。インフルエンザA型陽性検体のうち、75.5%がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、24.5%がインフルエンザA(H3N2)でした。キューバでは、ライノウイルスとパラインフルエンザウイルスも流行し続けました。ドミニカ共和国でも、インフルエンザの活動性は減少し始めました。インフルエンザが陽性となった検体の割合が、前回の報告では45.9%でしたが、最近の週では、検査された132検体のうち36.8%に減少し、検出されたのは、ほとんどがインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。コスタリカにおけるインフルエンザの活動性は増加し続けており、主に流行しているウイルスはインフルエンザA(H1N1)pdm09です。エルサルバドルでは、インフルエンザとRSウイルスの活動性が増加したと報告されました。主に検出されたウイルスは、依然としてRSウイルスでしたが、インフルエンザの活動性が増加しました。

南米の熱帯地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が主に検出された呼吸器疾患を起こすウイルスとなりました。しかし、ボリビアのサンタクルス(Santa Cruz)ではインフルエンザB型が主に検出されました。また、エクアドルではRSウイルスが主に検出されましたが、減少傾向を示していました。ニカラグアでは検体が陽性なる割合が急増したと報告されており、6月中旬の陽性検体の割合は15.6%でしたが、最近の週では32%でした。陽性検体の大部分はRSウイルスでした。

コロンビアでは、重症急性呼吸器感染症(SARI)による入院とSARIによるICU(集中治療室)への入院割合は、過去数週間と同様であり、インフルエンザの活動性は増加し続けました。過去2週間に685検体が解析され、呼吸器疾患を起こすウイルスが陽性であった割合は26%で、18%がインフルエンザウイルス陽性でした。ベネズエラでは、ARIの活動性が増加し続けており、この時期における流行閾値を超えましたが、過去数週間の指標は減少しました。肺炎患者の割合も、この時期に予想される範囲内に減少しました。インフルエンザが陽性となった検体のうち、92%がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、次いでインフルエンザA(H3N2)が多く検出されたと報告されました。ブラジルにおけるインフルエンザの活動性は減少したようです。陽性検体のうち、主に検出されたのはインフルエンザB型であり、次いでインフルエンザA(H1N1)pdm09が多く検出されました。しかし、SARIの患者では、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されました。

中部アフリカ

中部アフリカの熱帯地域の多くの国では、過去数週間にわたって、活動性は低い水準と報告されましたが、カメルーン、コートジボワール、マダガスカルは例外でした。カメルーンとコートジボワールでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB型がともに伝播したと報告されました。マダガスカルにおけるインフルエンザの活動性は、5月末にピークに達した後、減少し続けましたが、インフルエンザが陽性となった検体の割合は43.6%であり、依然として高く、大部分がインフルエンザB型でした。

アジアの熱帯地域

東南アジアにおけるインフルエンザの伝播は徐々に減少し、南アジアにおける伝播は過去数週間にわたって低い水準が続きました。どちらの地域も、インフルエンザA型がインフルエンザB型よりも高い割合でした。東南アジアにおけるインフルエンザの活動性は、ほとんどの地域で依然として低い水準でしたが、ベトナムでは、過去数週間にわたって、主にインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09がともに伝播しました。タイも過去数週間に比べ、インフルエンザA(H3N2)が若干増加したと報告しました。南アジアでは、インドで、過去数週間にわたって主に流行したインフルエンザウイルスはインフルエンザA(H3N2)でした。スリランカでは、過去数週間にわたって、インフルエンザA型の活動性が減少しました。イランとパキスタンも低い活動性でした。中国南部におけるインフルエンザの活動性は徐々に減少しました。

南半球の温帯地域

南米の温帯地域

南米の温帯地域では、急性呼吸器疾患の活動性は高く、増加傾向を示しました。ILIとSARIの活動性は、チリとアルゼンチンでこの時期に予想される水準を超え、ウルグアイでは増加していました。ほとんどの国で、依然として主にRSウイルスが流行しています。インフルエンザウイルスは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が主に流行していますが、パラグアイでは主にインフルエンザA(H3N2)が流行していると報告されました。

アルゼンチンでは、ILIの受診者数は過去5年に比べ、流行閾値を超えたと考えられており、SARIの患者数は流行閾値に達しました。今シーズンは、これまでに、呼吸器疾患を起こすウイルスが陽性となった検体の半数以上はRSウイルスでしたが、インフルエンザウイルスの検出数は過去数週間にわたって増加しており、過去のシーズン(2009年を除く)に比べ、陽性検体数が多くみられました。今シーズン中にインフルエンザが陽性となった1,975検体のうち、インフルエンザA型が97.2%、インフルエンザB型が2.9%でした。亜型解析されたインフルエンザA型陽性検体のうち、56.9%がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、12.2%がインフルエンザA(H3N2)でした。

チリでは、国のILIの受診率は増加傾向を示しており、過去数週間で流行閾値を超えました。しかし、依然として、RSウイルスが高頻度に検出されました。採取された1,697検体のうち、40%で呼吸器疾患を起こすウイルスが検出され、インフルエンザウイルスが陽性となったのは8%でした。検出されたウイルスのうち、67%がRSウイルス、16%がインフルエンザA(H1N1)pdm09または亜型不明のインフルエンザA型でした。

パラグアイでは、ILIの受診率、ILIの割合、SARIに関連した入院の割合は、過去数週間と同様で、増加傾向にありました。6月30日以降に解析された561検体のうち、83%で呼吸器疾患を起こすウイルスが検出され、インフルエンザウイルスが陽性となった検体は43%でした。検出されたウイルスはRSウイルス(47 %)とインフルエンザA(H3N2)(45%)が大部分を占めました。SARIの患者から採取された121検体では、RSウイルスが最も多く検出されました。

ウルグアイでは、SARIによる入院との割合は依然として高いものの、SARIに関連したICUへの入院の割合は過去2週間以上にわたって減少しました6月23日以降に解析されたSARI患者の104検体のうち、43%で呼吸器疾患を起こすウイルスが検出され、インフルエンザウイルスは28%でした。インフルエンザが陽性となった検体の割合は増加し、RSウイルスは優勢ではなくなりました。陽性検体のうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09が58%、RSウイルスが29%を占めました。

南アフリカの温帯地域

南アフリカにおけるインフルエンザの活動性は、6月上旬にピークに達した後、減少したようです。定点機関で採取された検体は、依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09が主に流行しているインフルエンザの亜型であることを示していますが、インフルエンザA(H3)とインフルエンザB型も報告されました。

オセアニア、メラネシア、ポリネシア

オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島におけるインフルエンザとILIの活動性は、依然として低い水準と報告されました。

オーストラリアでは、6月17日から23日までの1週間、ILIの受診率は増加しましたが、例年のこの時期に比べ、若干低い水準が続きました。ニュージーランドでは、7月1日から7日までの1週間、インフルエンザの活動性は、依然として閾値を下回っていましたが、増加傾向にありました。252検体のうち26検体がインフルエンザ陽性であり、インフルエンザB型が17検体、インフルエンザA(H3N2)が3検体、インフルエンザA(H1N1)pdm09が1検体、インフルエンザA型(亜型不明)が5検体でした。

出典

Influenza update19 July 2013 –Update number190

http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/
latest_update_GIP_surveillance/en/index.html