世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新1)
2014年1月27日 WHO (原文〔英語〕へのリンク)
要約
- 北米では、最近数週間におけるインフルエンザの活動性は依然として高く、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。
- ヨーロッパでは、インフルエンザの活動性は若干高まっており、インフルエンザのシーズンが始まったことを示しているのかもしれません。
- 中国におけるインフルエンザの活動性は高まり続けており、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型が伝播しています。
- 南半球におけるインフルエンザの活動性は依然として低い水準でした。
- 熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は国によって異なりました。
- FluNet(1月23日時点)によれば、第1週から第2週(2013年12月29日から2014年1月11日)の間、72の国・地域にある国のインフルエンザ・センターやその他の国のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、81,261以上の検体を検査しました。インフルエンザが陽性となったのは24,494検体で、このうち22,425検体(91.6%)がインフルエンザA型で、2,069検体(8.4%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、11,033(80.5%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09で、2,669検体(19.5%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、220検体(84%)が山形系統で、42検体(16%)がビクトリア系統でした。
- 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)に関する更新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/en/
北半球の温帯地域
北米
北米では、インフルエンザの活動性は依然として高く、検出されたウイルスはインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。昨シーズンはインフルエンザA(H3N2)が優勢でした。
カナダでは、インフルエンザの活動性は高まり続けました。カナダにおける検査施設での検出数、入院者数、抗ウイルス薬の処方数のサーベイランス・データによれば、患者は、65歳を超える年齢層に比べ、20歳から64歳の年齢層が多くを占めており、昨シーズンと異なっています。検査施設で検出されたウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09が占める割合は、昨シーズンは10%でしたが、今シーズンは90%を超えました。
米国におけるインフルエンザの活動性は依然として高い水準です。1月第2週にILI(インフルエンザ様疾患)で受診した外来患者の割合は3.6%で、国の閾値である2.0%を超えました。ほとんどの地域で、インフルエンザは広範囲に広がっており、南部と南西部の数州では、ILIの活動性が高いと報告されました。肺炎及びインフルエンザによって死亡した人の割合は流行閾値を超え、インフルエンザに関連した小児の死亡者は10人と報告されました。インフルエンザでICU(集中治療室)に入院した者の割合は19.4%で、過去3シーズンの割合(15.7%、16.6%、18%)に比べ、高い水準でした。米国では、検査された検体のうち、優勢であったウイルスはインフルエンザA型であり、亜型解析された検体ではインフルエンザA(H1N1)pdm09が最も多く検出されました。
ヨーロッパ
ヨーロッパ地域におけるインフルエンザの活動性は、最近数週間に比べ、1月初旬に若干高まっており、インフルエンザのシーズンが始まったことを示しているのかもしれません。ヨーロッパ全域で、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)が検出されましたが、優勢であったウイルスは国によって異なりました。ほとんどの地域では、ILIとARI(急性呼吸器感染症)の受診率は依然として低い水準でした。西ヨーロッパ諸国では、過去数週間に検査で確定された入院患者数とインフルエンザによる死亡者数が増加したと報告されました。
ブルガリア、ギリシャ、ポルトガル、スペインでは、インフルエンザの伝播は中等度と報告されました。また、ポルトガル、スペイン、英国では、インフルエンザは広範囲に広がっていると報告されました。WHOヨーロッパ地域事務局に報告された検体は、インフルエンザA型ウイルスが優勢で、検査された検体の95%を占めました。亜型解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、インフルエンザA(H1N1)pdm09は45%で、インフルエンザA(H3N2)は55%を占めました。
アフリカ北部、西アジア、中央アジア
中央アジアと西アジアでは、イランとトルコで、1月初旬からインフルエンザA(H3N2)の活動性の増加が報告されました。エジプトではインフルエンザA(H1N1)pdm09の活動性が高まり、トルコではインフルエンザA(H3N2)の活動性が高まりましたが、その他の国ではインフルエンザの活動性は依然として低い水準でした。
東アジア
アジアでは、1月初旬、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。中国、日本、韓国でインフルエンザの活動性が高まったと報告されました。中国におけるインフルエンザの活動性は依然として高く、増加しています。中国南部ではインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢で、中国北部ではインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。韓国では、ILIで定点医療機関を受診した患者の割合は27.3%で、国の季節性の閾値(12.1%)を超えています。
熱帯地域
アメリカ大陸の熱帯地域
全体として、カリブ海諸国、中米、南米の熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は低い水準でした。
中部アフリカの熱帯地域
アフリカ地域では、インフルエンザの活動性は全体的に低い水準でした。エチオピアとガーナではインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型が伝播しましたが、西アフリカではインフルエンザB型が少数検出されました。
アジアの熱帯地域
東南アジア諸国におけるインフルエンザの活動性は、全体的に低い水準でした。太平洋諸島におけるILIの活動性は減少したか、低い水準でした。過去数週間でILIが継続したと報告されたのはミクロネシアのみでした。
南半球の温帯地域
南半球におけるインフルエンザの活動性は、比較的低い水準が続いており、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型が低い水準で伝播しました。
出典
Influenza update27 January 2014 - Update number 203