世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新3)
2014年2月24日 WHO (原文〔英語〕へのリンク)
要約
- 北米では、依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。インフルエンザの活動性は、米国、カナダ、メキシコで減少し続けましたが、依然として高い水準でした。
- ヨーロッパでは、インフルエンザの活動性は全体的に、依然として高い水準でした。インフルエンザの活動性は、南部から北部に遷移している傾向にあり、インフルエンザA型ウイルスの2亜型がともに伝播しています。
- 東アジアにおけるインフルエンザの活動性は依然として高い水準であり、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。
- 北アフリカと西アジアでは、インフルエンザの活動性は国によって異なり、エジプトでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09が高い水準であり、重症例も増加したと報告されています。
- FluNet(2月24日時点)によれば、第5週から第6週(2014年1月26日から2月8日)の間、93の国・地域にある国のインフルエンザ・センターやその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、87,378以上の検体を検査しました。インフルエンザが陽性となったのは20,777検体で、このうち18,487検体(89%)がインフルエンザA型で、2,290検体(11%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、9,141(77%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、2,735検体(23%)がインフルエンザA(H3N2)、1検体(0%)がインフルエンザA(H5N1)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、127検体(74.7%)が山形系統で、43検体(25.3%)がビクトリア系統でした。
- 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)に関する更新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/
- WHOは、北半球における2014年から2015年のシーズンのインフルエンザワクチン株選定会議を開催し、その推奨はWHOのウェブサイトに示されています。
http://www.who.int/influenza/en/
北半球の温帯地域
北米
北米では、インフルエンザの活動性は国によって異なりましたが、検査施設で検出されたウイルスは全体的に減少しました。検出されたウイルスはインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。
カナダでは、インフルエンザの活動性は減少し続けました。インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢で、インフルエンザの活動性は、全体的に、この時期としては予想範囲内の水準でした。
米国におけるインフルエンザの活動性は減少傾向が続きましたが、伝播は全体的に依然として高い水準でした。ILI(インフルエンザ様疾患)で受診した外来患者の割合は3.8%から3.3%に減少しましたが、国の閾値である2.0%を超えています。10地域すべてにおいて、地域水準を上回るILI受診者数が報告されました。入院患者のほとんどは18歳から49歳と50歳から64歳の年齢層でした。肺炎およびインフルエンザによって死亡した人の割合は流行閾値を超えていました。
メキシコにおけるインフルエンザの活動性は、依然として増加しました。ILIとSARI(重症急性呼吸器感染症)に関連して医療機関へ受診した者の割合は、2月第1週には3.8%で、前週よりも増加しました。急性呼吸器感染症(ARI)と肺炎の割合も前週よりも増加し、この時期としては、予想される水準を上回りました。
ヨーロッパ
ヨーロッパ地域におけるインフルエンザの活動性は、依然として高い水準でした。ヨーロッパ全域の国々で、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)が伝播していましたが、優勢な亜型は国によって異なっていました。全体的には、インフルエンザA(H1N1)pdm09が若干多く検出されました。インフルエンザの活動性は、北部で増加し、南部で減少しましたが、ギリシャは例外で、依然として増加傾向を示しました。ほとんどの国で、ILIの受診率が増加しました。
アフリカ北部、西アジア、中央アジア
中央アジアと西アジアでは、インフルエンザの活動性は国によって異なりました。トルコでは、インフルエンザが陽性であった検体数とILIの活動性は前週よりも減少したと報告されました。イランでは、インフルエンザが陽性であった検体数が少なくなったと報告されました。エジプトでは、依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09の活動性が高い水準であり、重症例も増加したと報告されました。シリアでは、1月と2月上旬にSARIの患者数が増加したと報告されました。その他の国におけるインフルエンザの活動性は依然として低い水準でした。
東アジア
東アジアでは、全体的にはインフルエンザの活動性は国によって異なりましたが、ほとんどの国でインフルエンザの活動性は、季節的な傾向で増加しました。インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBがともに伝播したものの、依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。中国では、北部、南部ともにインフルエンザの活動性は依然として高い水準でしたが、中国の疾病対策センターは、ILIの活動性は減少し、インフルエンザが陽性であった検体数も減少したと報告しました。モンゴルでは、インフルエンザの活動性は高い水準が続いており、インフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。韓国では、インフルエンザの活動性は増加し続けており、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、インフルエンザBが同じような割合で検出されました。日本では、インフルエンザの活動性は増加し続けました。日本の札幌市では、2013年11月から12月にかけて、オセルタミビルとペラミビルに感受性が低下したインフルエンザA(H1N1)pdm09が6株検出されました。患者は地域内で感染し、お互いに直接の関連がなく、検査が行われる前に抗ウイルス薬による治療を受けた患者はいませんでした。
熱帯地域
アメリカ大陸の熱帯地域
カリブ海諸国、中米、南米の熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は、全体として低い水準でした。
中部アフリカの熱帯地域
アフリカ地域では、インフルエンザの活動性は全体的に低い水準のままでした。ガーナでは、インフルエンザB型の活動性が増加し続けました。マダガスカルでは、インフルエンザA(H3N2)の活動性が増加し続けました。
アジアの熱帯地域
東南アジア諸国におけるインフルエンザのは国によって異なりました。インドネシアとタイでは、インフルエンザの活動性が増加し続けており、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型がともに伝播しました。その他の東南アジア地域の国におけるインフルエンザの活動性は、依然として散発的でした。
南半球の温帯地域
南半球におけるILIの活動性は、依然として比較的低い水準が続いており、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB型が散発的に検出されました。
出典
Influenza update24February2014 - Update number 205