世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新9)

2014年5月19日 WHO(原文[英文]へのリンク

要約

世界的にみて、北半球でのインフルエンザシーズンはほとんどの国でシーズンオフのレベルでした。ほとんどの地域で、インフルエンザB型ウイルスがシーズン後半に検出される大部分を占めていました。

  • 北米におけるインフルエンザのレベルは、シーズンオフのレベルで、インフルエンザBの循環が時に検出されました。
  • ヨーロッパでは、ほとんどの国ではシーズンオフのレベルでした。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動性はほとんどの国でシーズンオフのレベルに近づき、インフルエンザB型ウイルスが主に検出されました。
  • アジアの熱帯地域では、ほとんどの国でインフルエンザの活動性は低下し続けました。北アフリカと西アジアでは、ほとんどの国でインフルエンザの活動性は低いままで、検出されたウイルスでは、インフルエンザBが優勢でした。
  • 南半球では、いくつかの国でインフルエンザ様疾患(ILI)が徐々に増加していますが、インフルエンザの活動性は低いままです。インフルエンザの検出はまだ低値です。
  • FluNet報告(協定世界時間5月15日9:00)によりますと2014年第17週から第18週(4月20日から5月3日)までに81の国・地域にある国のインフルエンザ・センター(NICs)やその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、40,300以上の検体を検査しました。インフルエンザが陽性となったのは3,739検体で、このうち1,696検体(45.4%)がインフルエンザA型で、2,043検体(54.6%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、278(31.2%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、613検体(68.8%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、49検体(89.1%)がB-山形系統で、6検体(10.9%)がB-ビクトリア系統でした。
  • 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の人への感染に関する更新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。
    http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/

北半球の温帯地域

北米
北米では、全体のインフルエンザ活動性は徐々に低下し、シーズン後半のインフルエンザBも同様にピークに達したようです

カナダでは、インフルエンザの活動性は年間のこの時期に予想されるレベルの範囲内で、インフルエンザBウイルスの循環が続いているようです。インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザBが陽性となる検体の割合はさらに減少しました。

米国では、ほとんどの地域でインフルエンザの活動性は低下し続け、ILIの割合はシーズンオフのレベルになりました。しかしインフルエンザBのシーズン後期の循環がいくらかみられました。肺炎およびインフルエンザに起因する死亡割合は流行状況とする閾値を下回ったままでした。

メキシコでは、インフルエンザの活動性はこの時期として予想されるレベルの範囲内でしたが、肺炎の割合と急性呼吸器感染症(ARI)活動性の報告はわずかに増加しました。検査でインフルエンザ陽性となる検体数はわずかですが続いていて、インフルエンザAとBがほとんど同じ割合でした。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動性は全体的に低下し、ほとんどの国でシーズンの終息が示唆されました。ほとんどの国でILIとARIの受診率はシーズンオフのレベルに近づいています。重症急性呼吸器感染症(SARI)の入院数とインフルエンザ陽性SARI検体数はさらに減少しました。

北アフリカ、西アジア、中央アジア
中央アジアと西アジアでは、ほとんどの国でインフルエンザの活動性は低いままでした。イランおよびトルコでインフルエンザBウイルスの検出が引き続き報告されましたが、低レベルでした。

東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動性は低下し続けました。インフルエンザBウイルスが優勢でしたが、低いレベルでインフルエンザA(H1N1)pdm09およびA(H3N2)が検出されました。

中国では、インフルエンザの活動性はさらに減少し、シーズンオフのレベルに達しました。インフルエンザが陽性となるILI検体の割合は中国の北部と南部の両方で低い値でした。中国では、北部および南部の両地域でインフルエンザBがA(H3N2)より優勢であり、南部ではインフルエンザA(H1N1)pdm09の検出はほとんどありませんでした。

モンゴルではILIの活動性は大幅に低下し、モンゴルの許容値上限の60%以下になりインフルエンザ陽性となった検体はありませんでした。入院を要した肺炎患者数は頭打ちになりました。日本では、インフルエンザの活動性がシーズンオフのレベルでした。韓国では、インフルエンザの検出は減少し続け、インフルエンザBが主に循環しているウイルスでした。全体的にILIで定点医療機関を受診する患者数の割合は国の基準値をさらに下回りました。メコン川流域ではインフルエンザ活動性が増加しました。ラオスとベトナムは4月の初めからインフルエンザの活動性が高まっていると報告しました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
中米、カリブ海諸国、南米の熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は、全体として低いレベルでした。フランス領ギアナとグアドループは例外で、引き続き高いILI活動性がみられます。

中央アフリカの熱帯地域
アフリカでは、東部と中央アフリカで主にインフルエンザBの検出が報告され、モーリシャスでは例外で依然としてインフルエンザA(H1N1)pdm09が多数報告されました。西アフリカではインフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B型ウイルスの検出が報告されました。

アジアの熱帯地域
ほとんどの東南アジア諸国では、インフルエンザの活動性は低下しているか低いレベルにとどまりました。タイでは活動性が低下し、ILI活動性のレベルは基準値を下回りインフルエンザA (H1N1)pdm09とB型ウイルスが循環しました。ブータンでは活動性のピークは3月中旬に超えて、ILIの活動性は前週よりも高値でしたが減少しました。

南半球の温帯地域諸国

南半球におけるILIの活動性は、比較的低いままで、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A (H3N2)、インフルエンザB型ウイルスが低いレベルで循環しました。オーストラリア、ニュージーランドでは、2週間前と比較しILI活動性が増加しましたが低いレベルのままです。太平洋諸島のILI活動性は様々で、いくつかの諸島では増加が認められました。南米諸国ではILI活動性の増加が報告されましたが、例年この時期として予想されるレベルの範囲内で、インフルエンザウイルスの検出は低いレベルでした。

出典

Influenza update19 May 2014 - Update number 211
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/