世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新11)
2014年6月16日 WHO (原文[英語]へのリンク)
要約
世界的にみて、インフルエンザ活動性は低いものでした。
- 北米とヨーロッパでは、全体的にインフルエンザ活動性はシーズンオフのレベルでした。
- 東アジアでは、インフルエンザの活動性はほとんどの国でシーズンオフのレベルに近づき、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型ウイルスが優勢でした。
- 南アジアと東南アジアでは、インフルエンザの活動性は低下し続けました。
- 北アフリカと西アジアではインフルエンザ活動性は低いままでした。
- 南半球では、インフルエンザの活動性は低いままでしたが、南米の温帯地域のいくつかの国ではインフルエンザ様疾患(ILI)が増加しインフルエンザの検出がわずかに増加しました。
- FluNet報告(協定世界時間6月12日11:15)によりますと2014年第21週から第22週(5月18日から5月31日)までに76の国・地域にある国のインフルエンザ・センター(NICs)やその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、30,179以上の検体を検査しました。インフルエンザが陽性となったのは1,919検体で、このうち1,198検体(62.4%)がインフルエンザA型で、721検体(37.6%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、188(21.3%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、694検体(78.7%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、36検体(80%)がB-山形系統で、9検体(20%)がB-ビクトリア系統でした。
- 北半球2013/2014冬期の総括が公表され以下でアクセスできます。http://who.int/wer/2014/wer8923.pdf[PDF形式:2368KB]
- 鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の人への感染に関する更新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/
北半球の温帯地域
北米
北米では、全体のインフルエンザ活動性は低下し続け、シーズン後半のインフルエンザB型も同様にピークに達したようです。すべての国でインフルエンザ活動性はシーズンオフのレベルで、年内同時期で予想されるインフルエンザB型ウイルスの低い循環がみられました。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動性は全体的に低下し、ほとんどの国でシーズンの終息が示唆されました。この地域ではインフルエンザA型が2013年10月から優勢なウイルスのままでした。WHOヨーロッパ地域のほとんどの国でILIとARIの受診率は低レベルであり、シーズン全体を通してインフルエンザ活動性は低かったと報告されました。重症急性呼吸器感染症(SARI)の入院数とインフルエンザ陽性SARI検体数はさらに減少しました。
北アフリカ、西アジア、中央アジア
北アフリカ、中央アジアと西アジアでは、ほとんどの国でインフルエンザの活動性は低いままでした。バーレーンは最近インフルエンザA(H1N1)pdm09とB型ウイルスの検出が増加したと報告しました。
東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動性は低下し続けました。インフルエンザA(H3N2)とB型が優勢に循環したウイルスでしたが、低いレベルでインフルエンザA(H1N1)pdm09も検出されました。
モンゴルでは、ILI活動性は全体的に低下傾向を示し、インフルエンザウイルスの検出もわずかでした。中国では、インフルエンザの活動性は安定しシーズンオフのレベルのままでした。インフルエンザが陽性となった検体の割合は中国の北部と南部の両方で低く、ほとんどがA(H3N2)とインフルエンザB型ウイルスでした。ILI症例の割合は予想されるレベル値内でした。日本と韓国ではインフルエンザ活動性はシーズンオフのレベルに達しました。
熱帯地域
アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
中米、カリブ海諸国、南米の熱帯地域におけるインフルエンザの活動性は、全体として低いレベルでした。ブラジル、ドミニカ共和国、パナマの熱帯地域では主にインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB型ウイルスによるわずかな症例が報告されました
中央アフリカの熱帯地域
アフリカでは、西アフリカ(ガーナ、ナイジェリア)、中央アフリカ(カメルーン)、東アフリカ(ケニア、モーリシャス、ルワンダ)で主にインフルエンザA(H3N2)とA(H1N1)pdm09の検出が報告されました。
アジアの熱帯地域
ほとんどの南アジア、東南アジア諸国では、インフルエンザの活動性は低下しているか低いレベルにとどまりました。
イランでは冬期インフルエンザシーズンは最初インフルエンザA(H3N2)が優勢でその後インフルエンザB型となり、最近はインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスが検出されています。
ラオスでは、インフルエンザA(H3N2)を中心とする活動性が報告されました。シンガポール、タイ、ベトナムでは活動性の減少が報告され、低レベルのILI活動性と低レベルのインフルエンザA(H1N1)pdm09とB型ウイルスの検出が報告されました。
南半球の温帯地域諸国
南半球におけるインフルエンザ活動性は、南米の温帯地域で増加が始まったと報告されましたが、オセアニアと南アフリカでは比較的低いままでした。
南米温帯地域
南米の温帯地域ではILI活動性が増加し、その主な原因はRSウイルス(RSV)やメタニューモウイルスでしたがインフルエンザの検出も増加しました。
アルゼンチン、チリ、ウルグアイではインフルエンザ活動性がこの数週間で増加しましたが、例年同時期の平均的なレベルに留まりました。一方パラグアイでのILI割合は予想されるレベルよりも高くなりました。この地域で分離されたウイルスは、そのほとんどがRSウイルスやメタニューモウイルスでした。ほとんどの国でインフルエンザウイルスの検出がわずかに増加しましたが、陽性率は検体の7%未満に留まりました。
南アフリカとオセアニア
南アフリカでは、主にインフルエンザA(H3N2)によるインフルエンザの活動性がいくらかみられましたが、検出はまだ散発的です。
オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザウイルスの検出とILI活動性は季節的な閾値には達していませんでした。
出典
Influenza update16 June 2014 - Update number 213
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/