西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新4)

7月10日付けの世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

疫学とサーベイランス

WHOは、引き続きギニア、シエラレオネ、リベリアにおけるエボラウイルス疾患(EVD)の進展状況について監視しています。

ギニアでは、現在の流行の傾向から、コミュニティーでのウイルス伝播の活動性は低く、この7日間でEVDと確認された症例の報告は1例のみにとどまっています。現在の傾向が続くのか、特に推奨される流行(アウトブレイク)制御手段に対して抵抗を示しているコミュニティーを対象に、厳重に監視を続けています。

リベリアおよびシエラレオネでの流行の傾向は依然として危険な状況にあり、新規症例および死亡例が多数報告されています。現在、EVD流行の活動性の高いフォーカスはシエラレオネのカイラフン(Kailahun)とケネマ(Kenema)、リベリアのロファ(Lofa)とモンセラード(Montserrado)であることが確認されました。

当該国の保健省がWHOおよびその協力部門と協同して、封じ込め手段を講じています。

保健部門の対応

この流行を制御するための努力の一環として、WHOの健康セキュリティ環境クラスタ部門の事務総長次長補であるKeiji Fukuda医師、また、流行対応部門のサブ地域コーディネーターであるBenido Impouma医師が、2014年7月7日から10日にかけてシエラレオネおよびギニアを訪問しました。WHOの派遣団は、ハイ・レベルな政治的な対話に携わり意見交換を行い、政府当局は国家としてのリーダーシップと関与が発揮されることを目指しました。派遣団はさらに、EVD流行に対応するため設立された国の調整組織との間で、協力部門とともに協力体制、意思疎通、各部門間の協同作業を強化するために議論の場を持ちました。

ギニアのコナクリでは、サブ地域流行調整センターが設立されています。このセンターは、西アフリカの国々への技術支援を強化し現実に即したものにし、医療資源の運用に関する援助を行うために、制御および調整のための支持基盤として機能するでしょう。

サブ地域センターは、優先順位と合意された諸目的に基づき、限られた稀少な、しかし非常に重要な医療資源を、確実に効果的に配分し利用する責務を負うことになります。重要な支援機能の組織化と協調化、および現場作業は、流行の生じている地域あるいはホットスポットにより近い地域へと軸足を移すことになります。

以上に加えて、サブ地域センターは以下のことを行います。

  • 現場での持続的な対応をとるために、十分な技術的および戦略的な支援を行い、医療資源を供給すること、GOARNのパートナーおよびネットワークの調整を促進すること、大衆への情報伝達のため物品を用意し行動を起こすこと、必要に応じて不測事態への対応、リスク評価、作業の評価に携わること、そして、現場作業が効果的かつ成功裏に進むように安全な環境を提供すること。
  • 合意目標を達成できるように作業期間を確定し、また、確実に計画を立て、調整をおこない、限りのある資源を最も有効に利用できるようにすること、同時に行動と管理の継続性を担保すること。
  • 人的、物的資源を以下の項目に振り分けること。連携作業、社会的な動員作業、警戒を要する事例や新しい流行に対する調査、症例の検出と接触者の追跡、サーベイランスおよびデータ管理、患者の治療およびケア、ロジスティクス、個人用保護具の重要拠点への移動等。
  • サブ地域で活動中のすべての現場チームに対して、技術指導および技術資源を提供し、通信支援、意思決定および報告に関する情報を提供すること。

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

統計の概要

エボラウイルス疾患(EVD)に起因する新しい症例および死亡例が、西アフリカの3か国、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省により、引き続き報告されています。

2014年7月6日から8日の間に、21の死亡例を含む44の新規EVD症例が、3か国から報告されました。

ギニア:新規症例が1例、死亡例が2例
リベリア:新規症例が11例、死亡例が4例
シエラレオネ:新規症例32例、死亡例が15例

この数字には、EVDに関して検査で確定された症例、可能性の高い症例、疑い症例、および死亡例が含まれています。

2014年7月8日の時点で、3か国のEVDに起因する累積症例数は、539の死亡例を含む888例となっています。症例の分布および分類は以下のとおりです。

ギニア:409症例(確定症例296例、可能性の高い症例96例、疑い症例17例)および死亡例309例(確定症例197例、可能性の高い症例96例、疑い症例16例)
リベリア:142症例(確定症例70例、可能性の高い症例32例、疑い症例40例)および死亡例88例(確定症例44例、可能性の高い症例28例、疑い症例16例)
シエラレオネ:337症例(確定症例298例、可能性の高い症例34例、疑い症例5例)および死亡例142例(確定症例127例、可能性の高い症例11例、疑い症例4例)

ギニア、リベリアおよびシエラレオネにおけるエボラウイルス疾患(EVD)の確定症例、可能性の高い症例、疑い症例(2014年7月8日時点)

エボラ出血熱の発生状況

症例の総数には、再分類や後方視的調査、症例と検査結果の統合の結果により変更が加えられることがあります。疾患流行ニュースで報告されたデータは、保健省よって報告された現在入手可能な最良の情報に基づきます。

参考

WHO AFRO Epidemic& Pandemic Alert and Response (EPR)
Ebola virus disease, West Africa-update, 10 July 2014
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4220-ebola-virus-disease-west-africa-10-july-2014.html